タグ: 泣ける話

お母さんの匂い

だめな子だと決めつけていた教え子の指導記録に、私は自分の大きな過ちを思い知りました。亡き母の形見の櫛にかすかに残る椿油の匂いと、やがて結婚式に届いた『母の席に座…

引き出しの奥の布張りのノート

雨の日曜、整理だんすのいちばん下から出てきた布張りのノート。そこには妻の昼ごはんが毎日、納豆ごはんかお茶づけだと書かれていました。小さくなった茶わん、棚の上の菓…

みんな同じ

俺の娘は四つ。妻は娘を産んですぐ家を出て、母の話を避け続けてきた。ある夕方の電車で、片腕のない人を指さした女の子に、その母親が静かに語りかける。みんな同じじゃな…

坂の上と胸ポケットの観戦パス

坂の途中の小さな自転車店。決して人に頭を下げない店主が一度だけ私に頼んだのが、胸ポケットの観戦パスでした。雨の夜に果たされなかった約束と、三十年後の面接室でその…

子犬を買いに来た男の子

わずかな小遣いを握りしめ、毎日ペットショップに通うひとりの男の子が選んだのは、足の不自由な一匹の子犬でした。そっとまくり上げたズボンの下に隠されていた、彼の本当…

おにぎりをくれた女の子

泣ける話。瀬戸内の港町の古い文化住宅で出会った、隣の部屋の小さな女の子。お腹を空かせた私に握ってくれた、塩気のないおにぎりの本当の意味を、私はずっとあとになって…