タグ: 泣ける話

天国のママへ

妻を病で亡くし、四歳の息子と二人になった父。ある日、息子が急に「ひらがなを教えて」と言い出します。その理由を保育園の先生から電話で聞かされたとき、父は台所の床に…

フクが運んだ福

借金とすれ違いでバラバラだった我が家に、中学生の妹が雨の夜に抱えて帰った一匹の雑種犬フク。冷えきった家族を真ん中で結び直し、皆を見送るたびに遠吠えしたフクと過ご…

声を編む

父の死を境に心因性発声障害で声を失った恋人。活版印刷の職人である私は、声の代わりに鉛の活字で毎晩ひとつずつ言葉を組み、筆談と身ぶりで寄り添い続けました。一年後の…

虐めから守ってくれた兄

いつも私をからかってばかりの、意地悪な兄。けれど中学で虐めに遭い、暗い川を見つめた夜、兄がくれた小さなオルゴールが、すべてを変えました。亡き母の子守唄でつながる…

彼女の面影

古いピアノの調律をきっかけに結ばれた二人。けれど彼女は、若くして記憶を失っていきます。渡せなかったアクアマリンの指輪を手に、彼は遠い海辺の町へ彼女を訪ねました。…

彼との最後の夜

付き合って三年目の記念日、些細な喧嘩で家を出た恋人が、わずか十分後に近所の交差点で逝きました。遺された缶コーヒーとカーディガンが静かに語った、不器用なあの人の深…

オカンがしてくれたこと

雪深い城下町で、お直し屋を営みながら女手ひとつで息子を育てあげた母の物語です。欠けた前歯も荒れた手も顧みず、こつこつと積み上げた古い通帳。母の愛の深さにようやく…

猫が選んだ場所

古書店の帳場で十六年を共にした老猫の看取りの物語です。最期の居場所を探して姿を消した灯が、泥まみれになって帰ってきて、最後に選んだのは、わたしの腕の中でした。深…

ほどこしと親切

昭和五十年代、紡績の町に来た巡業サーカス。切符売場の前で、七人の子を連れた父親が立ち尽くした夜の感動する話です。左官職人の父が見せた、たった一言の優しさ――「ポ…

最高のママ

妻を亡くした港町の調律師に残されたのは、八歳の娘と三歳の息子でした。幼稚園の運動会『おやこでダンス』、入場門に駆け出した小さな影――藍色の割烹着と子守歌が紡ぐ、…

祖母から孫への想い

父の借金、働き詰めの母、古い服しか着ない祖母。大学に落ちた春、俺の部屋に祖母が持ってきたのは、使い込まれた手提げ袋だった。通帳の一頁目に並ぶ日付の意味を知ったと…

会いに来てくれた猫

家族に言えない悩みを、布団の中で茶トラ猫にだけ打ち明けていた日々。その子を見送って五年、疲れ果てて眠る私の背中に、忘れられない重みが戻ってきた。亡くなった後も寄…