ちょっと切ない話

蛍は亡くなった人の魂

祖父が死んで、もう12年になる。 幼い頃から、 「蛍は亡くなった人の魂だから、粗末に扱うな」 と祖父に教えられてきた。 ※ 去年の8月15日の夜、父と俺とで…

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書けなかった婚姻届

彼女とはバイト先で知り合った。 彼女の方が年上で、入った時から気にはなっていた。 「付き合ってる人は居ないの?」 「居ないよ…彼氏は欲しいんだけど」 「じゃ…

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綺麗なお弁当

遠足の日、お昼ご飯の時間になり、担任の先生が子供たちの様子を見回って歩いていた時のことです。 向こうの方でとても鮮やかなものが目に入って来ました。 何だろう…

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彼の遺した日記

2年間、付き合っていた彼に振られました。 それはもう、最後は彼が言ったとは思えないほどの酷い言葉で。 どんなにまだ好きだと言っても復縁は叶わず、音信不通にな…

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ほら、笑いなよ!

高校2年生の夏、僕は恋をした。 好きで好きで堪らなかった。 その相手を好きになった切っ掛けは、僕がクラスで虐めに遭い落ち込んでいた頃、生きる意味すら分からな…

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父と息子のキャッチボール

私の父は高校の時、野球部の投手として甲子園を目指したそうです。 「地区大会の決勝で9回に逆転され、あと一歩のところで甲子園に出ることができなかった」 と、小…

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母の想い

彼は幼い頃に母親を亡くし、父親と祖母と暮らしていました。 17歳の時、急性骨髄性白血病にかかってしまい、本人すら死を覚悟していましたが、骨髄移植のドナーが運…

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進学を願ってくれた母

僕の家は兄弟三人の母子家庭です。 母子家庭という事もあり、母は何も言わなかったけど家庭は火の車でした。 電気が止まった時も。 ガスが止まった時も。 中学の校…

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白猫のミーコ

私が生まれる前から、私の家にはミーコという猫が居た。 白くて、ふわふわで、温かかった。 私はミーコが大好きだった。 ミーコもそんな私に懐いてくれた。 ※ 父…

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母のガイドブック

東京で単身赴任をしていた時、連休になるといつも嫁が来て、家事などをしてくれていた。 母にも、偶には東京に来いよと言っていたのだけど、人混みが苦手だと言い、決…

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お袋からの手紙

俺の母親は俺が12歳の時に死んだ。 ただの風邪で入院してから一週間後に、死んだ。 親父は俺の20歳の誕生日の一ヶ月後に死んだ。 俺の20歳の誕生日に、入院中…

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一生懸命に生きて

私は昨日、小学4年生の子から手紙で相談を受けました。 『僕のお母さんに元気になって欲しくて、プレゼントをあげたいんだけど、僕のお小遣いは329円しかありませ…

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宝物ボックス

俺が中学2年生の時だった。 幼馴染で結構前から恋心も抱いていた、Kという女子が居た。 でもKは、俺の数倍格好良い男子と付き合っていた。俺が敵う相手ではなかっ…

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父が居たら

自分は父の顔を知らない。 自分が2歳の頃、交通事故で死んだそうだ。 母に、 「お父さんの名前、なんて―の?」 「お父さんの写真、見して!」 「お父さん、メガ…

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