母のガイドブック

公開日: ちょっと切ない話 | 家族 |

浅草の三社祭の提灯(フリー写真)

東京で単身赴任をしていた時、連休になるといつも嫁が来て、家事などをしてくれていた。

母にも、偶には東京に来いよと言っていたのだけど、人混みが苦手だと言い、決して来なかった。

そんな母が脳梗塞で突然死んじゃって、呆然としたまま遺品を整理していたら、東京のガイドブックが出てきた。

皇居や浅草などのベタなところに沢山、赤鉛筆で線が引いてあって、何度も読み返したらしくボロボロになっていた。

親父に聞いたら、行きたかったんだけど嫁の方が良いだろうと我慢していたのだそうだ。

自分は肉が嫌いな癖に、俺の好きそうな焼肉屋などにも一杯線が引いてあって、俺と一緒に回るのを夢見ていたらしい。

俺はお義理で誘っただけなんだけど、誘われた後は何回も何回も息子が来いと言ってくれたと喜んでいたらしい。

一緒に行きたかった場所には、俺の名前が書いてあって、それがたくさんたくさん書いてあって…。

死に顔を見た時よりも、葬式の時よりもすっごく泣いた。

田舎に戻った今でも、生きている間に呼ばなかったことを後悔している。

雪(フリー写真)

季節外れの雪

「ゆきをとってきて…おねがい、ゆきがみたい…」 あなたはそう言って、雪をほしがりましたね。 季節外れの雪を。 ※ あれから何年も時が経ちました。 あなたは、ゆっく…

手紙を書く手(フリー写真)

寂しい音

ある書道の時間のことです。 教壇から見ていると、筆の持ち方がおかしい女子生徒が居ました。 傍に寄って「その持ち方は違うよ」と言おうとした私は、咄嗟にその言葉を呑み込みまし…

天国(フリー素材)

天国のおかあちゃんへ

もう伝わらないのは解っているけど、生きている内に伝えられなかった事を今、伝えるね。 まずは長い闘病生活、お疲れ様。最後まで絶対に諦めなかったおかあちゃんの姿、格好良かったよ。 …

母と子

母の強さ

母は、バツニです。 1人目の旦那さんで兄と私を産み、2人目の旦那さんで妹を産みました。 1人目の父はギャンブル依存症で、多額な借金を抱え家に帰って来ないほどパチンコをして…

放課後の黒板(フリー写真)

好きという気持ち

中学1年生の時、仲の良かったO君という男の子が居た。 漫画やCDを貸しっこしたり、放課後一緒に勉強したり、土日も二人で図書館などで会ったりしていた。 中学2年生になる前に、…

手を繋ぐ母と娘(フリー写真)

最高のママ

もう十年も前の話。 妻が他界して一年が経った頃、当時八歳の娘と三歳の息子がいた。 妻がいなくなったことをまだ理解出来ないでいる息子に対し、私はどう接してやれば良いのか、父親…

眠る犬(フリー写真)

飼い犬との別れ

今年の元旦の事だった。 僕の実家にはKという犬が居た。 Kは僕が大学の頃に飼い始めて、かれこれ14年。 飼い始めの頃はまだちっちゃくて、公園に散歩に連れて行っても、懸…

星空(フリー写真)

一生懸命に生きて

私は昨日、小学4年生の子から手紙で相談を受けました。 『僕のお母さんに元気になって欲しくて、プレゼントをあげたいんだけど、僕のお小遣いは329円しかありません。この値段で買えて、…

赤ちゃん(フリー写真)

生まれてくれてありがとう

子供が2人居る。 でも本当は、私は3人の子持ちだ。 ※ 18歳の春に娘が生まれた。 結婚してくれると言っていた父親は、結局認知すらしてくれなかった。 若い私にとっ…

母の手を握る赤ちゃん(フリー写真)

生まれて来てくれて有難う

親と喧嘩をし「出て行け」と言われ、家を飛び出して6年。 家を出て3年後に知り合った女性と同棲し、2年後に子供が出来た。 物凄く嬉しかった。 母性愛があるのと同じように…