カテゴリー: ちょっと切ない話

胸が締め付けられるような、あの感覚。泣けるほど悲しいわけではないのに、なぜか心のどこかに引っかかって残る話があります。後悔、別れ、言えなかった言葉。切なさの中にこそ、人が生きる美しさがある——そんな短編をまとめました。

空席に座る子

旦那の上司の話です。亡くなったお子さんの話だそうです。 主人の上司のA課長は、病気で子供を失いました。 当時5歳。幼稚園で言えば、年中さんですね。 原因は判りま…

ごうちゃん

母が24歳、父が26歳、自分が6歳の時に両親は離婚した。 母が若くして妊娠し、生まれた自分は望まれて生を受けた訳ではなかった。 母は別の男を作り、父は別の女を作…

飼い犬との別れ

今年の元旦の事だった。 僕の実家にはKという犬が居た。 Kは僕が大学の頃に飼い始めて、かれこれ14年。 飼い始めの頃はまだちっちゃくて、公園に散歩に連れて行って…

一番大切なもの

ここ数ヶ月、色々な意味で忙しかった。 25歳で自営を始めて10年と少し営んで来た店を畳んだ。 利益が出ず、嫁の収入が主な生活費になっていて、いつ辞めるかのタイミ…

二十六年聴かなかったCD

中学一年で図書委員だった彼が、転校の前日に真っ白なCDを黙って渡してきました。怖くて二十六年しまい込んだその一枚を再生した日、図書館の貸出カードの一つ上の欄が意…

憧れた世界

飲んだくれの親父のせいで貧乏育ち。だから小さい頃は遠足の弁当が嫌いだった。 麦の混ざったご飯に梅干しと佃煮。 恥ずかしいから、 「見て~!俺オッサン弁当!父ちゃ…

彼女とフライパン

一人暮らしを始める時、意気込んでフライパンを買った。 ブランドには疎いが、とにかく28センチの物を一本。 それまで料理なんて全くしなかったのだが、一人暮らしだか…

国境と愛

彼女と俺は同じ大学だった。二人とも無事四年生になってすぐの4月、連日のように中国での反日デモがニュース番組を賑わしていた頃のこと。 中国人の彼女とはどうしても険…

初めて好きになった人

俺が小学6年生の頃の話。 俺は当時、親の転勤で都会から田舎へと引っ越しをした。時期はちょうど夏休み。全く知らない土地で暮らすのはこれで五回目だった。 引っ越しが…