商店街のハーモニカが繋いだ、幼馴染との最後の約束
幼馴染が夜逃げで消えた日から十五年。タクシー運転手の俺の車に乗り続けた男が握りしめたのは、あの日机に残されたハーモニカだった——不器用な友情が胸を打つ感動の物語…
幼馴染が夜逃げで消えた日から十五年。タクシー運転手の俺の車に乗り続けた男が握りしめたのは、あの日机に残されたハーモニカだった——不器用な友情が胸を打つ感動の物語…
古書店主の増田は、口うるさかった恩師の万年筆のキャップに隠された手紙を見つける。そこには一度も口にしなかった言葉が、静かに記されていた。…
郵便局員の父が、五年前から預けていた手紙。そこに書かれていたのは、不器用な父が一度も言葉にできなかった誇りと愛情だった。…
調律師の私が父の遺品から見つけた古いレコーダー。そこに録られていたのは、幼い日の私のピアノと、父が一度も言葉にできなかった想いだった。…
ギプスで固めた右腕のせいで空いた右肩の隙間を、拾った黒猫のクロは自分の居場所に決めました。見送ったあとも、ふとんの隙間を空けて眠る飼い主が、旅立った猫へ宛てた手…
六歳の娘が突然旅立ち、初七日が過ぎた日曜、父は娘が指折り数えていた二本立ての映画へ一人で入った。ハム太郎の歌が流れたとき、客席の子どもたちが歌う声の中に、あの舌…
見た目の怖さで避けられてばかりの二十四歳が、スーパーの新しい精算機の前で、手の震える男性に先に「ごめんねぇ」と言われた。拾ったのは数十円の小銭だけ。もらったセル…
弟の航が亡くなる前日、十一年後の兄が過去の自分へ宛てた手紙。風呂場の鼻歌、ベンチの端の背番号十八、青いお守り。葬儀の庭で知った自慢の弟の本当の意味を、静かに綴る…
料理のできない二十六歳の父と、五歳の息子。嫁が旅立って一ヶ月、冷凍庫を開けると、丸い字の札が貼られたタッパーがぎっしり並んでいた。最後に残った引き出しの蓋に書か…
病気を隠して「好きな人が出来た」と別れの手紙を書いた年上の彼女。十年たった今も、彼女の手紙は引き出しの奥にあります。バイト先で始まった恋と、婚姻届と一通の便箋が…
指輪の内側には、サイズの数字のほかに細かい傷が一列だけついていました。二十歳の春に不妊と告げられた私に、作業着のまま駆けつけた彼が差し出した小さな箱。一年後に本…
働きすぎで急逝した隣の席の宮坂さんと、「仕事ないですか」と声をかけ続けた私。三回忌の日に奥さんから渡された封筒には、私の名前を書いた来週こその付箋が、一枚だけ入…
中学二年の夏、目の前で幼馴染を失った俺は眠れず、食べられず、夜ごと玄関に立った。そんな俺と兄を結んでいたのは、体育館シューズの白い手首の紐だった。二十年近く経っ…
高校生の冬、私の電気毛布の上で産まれた猫のゆめ。出産予定日の十日前に入院したあの日、玄関で待つ猫だったゆめが最後に見せた姿を、娘が二歳になった今、ようやく書き残…
二十五歳まで生きられないと打ち明けた妻は、生まれたばかりの娘のために二十本のビデオテープを残しました。背表紙の一本だけ裏返しに貼られたラベルには、泣き虫の夫への…