タグ: 感動する話

君が残した2ゲットの夜

旅立った恋人が最後まで気にしていたのは、毎晩2ゲットを取られて悔しがる、画面の向こうの「3の人」だった。一周忌の午前四時、僕が叩いたF5キーの先で、返ってきた一…

隣の家のジュンの口ぐせ

無愛想で友だちの少なかった私を、電車で四十分かかる高校にまで、中学の頃の噂といじめが追いかけてきた。なぜか半年でそれが消えていった頃、心臓の弱い隣の家のジュンが…

父の護衛をしていた猫

朝四時から製麺所へ向かう父の先を歩いていた茶トラ猫のみぃ。父の護衛は、棺の小窓を一晩じゅう掘り続け、骨上げの日に忽然と姿を消した。四十九日の朝、玄関で鳴いていた…

鳴らないままだったポケベル

諫早から松戸まで訪ねてきた母は、三日のあいだ一度も私のポケベルを鳴らしませんでした。使い方を知らないのだと、私は十五年ものあいだ思い込んでいたのです。冷蔵庫に残…

封を切らなかった誕生日の夜

右手を失った友人は、ゲームに誘うたびに同じ言葉で断りました。ベッドの下の雑誌は背表紙が奥を向いていて、私はそれを隠しているのだと十四年のあいだ思い込んでいたので…