約束したのは外遊びではない
点滴の針を怖がって泣いていた五歳の子が、うん分かった約束だよ、と言って自分から腕を出しました。外で遊ぶ約束だと、私はずっと思っていました。看護師がシーツを抱えて…
思い切り泣きたいとき、この場所へ来てください。大切な人を失ったこと、届かなかった気持ち、間に合わなかった言葉——悲しい話には、悲しいからこそ伝わる本当のことが詰まっています。号泣できる実話風短編を集めました。
点滴の針を怖がって泣いていた五歳の子が、うん分かった約束だよ、と言って自分から腕を出しました。外で遊ぶ約束だと、私はずっと思っていました。看護師がシーツを抱えて…
20年前、私が団地に住んでいた頃のことです。 ある晩、会社から帰宅すると、団地前の公園で一人の男の子が、雨の中傘もささず、向かいの団地をじっと見つめていました。…
被災した時、私は中学生でした。家は完全に崩壊しましたが、たまたま外に近い部屋で寝ていたため、腕を骨折するだけで済み、何とか自力で脱出できました。しかし、奥の部屋…
妹からの最後のメールを読んだ時、命の尊さと、失った者の残された悲しみがどれほど深いかを痛感しました。妹は白血病で苦しみ、わずか14歳でこの世を去りました。彼女が…
私は医師として、人の死に接する機会が少なくありません。しかし、ある日の診察が、私の心を特別に痛めつけました。 少し前、一人の若者に余命宣告をすることになりました…
2年前、旅行先の駐屯地祭での出来事です。 例によって、特定の市民団体が来場し、場の雰囲気が少し重たくなっていました。そのとき、女子高生と思しき一人の少女がその団…
3年前の夏、金融屋として働いていた私は、いつものように債務者の家を訪れました。しかし、親は姿を消し、5歳の男の子と3歳の女の子だけが残されていました。 私はまだ…
昨日、僕の恋人が亡くなりました。 長い病気の末、彼女はこの世を去りました。通夜が終わり、残された荷物を病院から持ち帰ることになりました。その荷物の中に、彼女が書…
地震の前日、二人で飲んだラムネと「また明日」の約束。震災の一週間後、体育館で再会した彼女の右手から転がり落ちたのは、ビー玉でした。愛する人への別れを、二年後の今…
深夜二時、長野の寮を揺らした地震の震源は、愛媛の実家のすぐ近くだった。寮の公衆電話の列に初めて自分から並び、何度かけても発信音しか鳴らない三十分。授業参観の日を…
小学4年生の私にとって、1月15日は連休の最初の日だった。 その日、いつもの仲間5人と私の住んでいたマンションで楽しく遊んでいた。私たちの楽しみは、ミニ四駆を廊…
東日本大震災が発生した。 辺りは想像を絶する光景に変わっていた。鳥居のように積み重なった車、田んぼに浮かぶ漁船。一階部分は瓦礫で隙間なく埋め尽くされ、道路さえま…
結婚当初は距離を置いていた姑が、大地震の朝、血だらけのまま私に覆いかぶさった。家族の上着だけを持たせて見送った本当の理由を知った避難所の夜。震災と姑の愛を、嫁の…
ある日、私の隣に座っていた会社の同僚が亡くなりました。彼は金曜日の晩に飲んだ後、電車で気分が悪くなり、駅のベンチに座ったまま息を引き取ったのです。55歳という若…
南洋のパラオ共和国には、小さな島が幾つも点在している。 戦争中、これらの島々には日本軍が進駐していた。その中の一つの島に駐留していた海軍陸戦隊は、学徒出身の隊長…