カテゴリー: 悲しい話

思い切り泣きたいとき、この場所へ来てください。大切な人を失ったこと、届かなかった気持ち、間に合わなかった言葉——悲しい話には、悲しいからこそ伝わる本当のことが詰まっています。号泣できる実話風短編を集めました。

約束したのは外遊びではない

点滴の針を怖がって泣いていた五歳の子が、うん分かった約束だよ、と言って自分から腕を出しました。外で遊ぶ約束だと、私はずっと思っていました。看護師がシーツを抱えて…

雨の中の青年

20年前、私が団地に住んでいた頃のことです。 ある晩、会社から帰宅すると、団地前の公園で一人の男の子が、雨の中傘もささず、向かいの団地をじっと見つめていました。…

足りない時間

私は医師として、人の死に接する機会が少なくありません。しかし、ある日の診察が、私の心を特別に痛めつけました。 少し前、一人の若者に余命宣告をすることになりました…

救いの手

3年前の夏、金融屋として働いていた私は、いつものように債務者の家を訪れました。しかし、親は姿を消し、5歳の男の子と3歳の女の子だけが残されていました。 私はまだ…

愛する人への別れ

地震の前日、二人で飲んだラムネと「また明日」の約束。震災の一週間後、体育館で再会した彼女の右手から転がり落ちたのは、ビー玉でした。愛する人への別れを、二年後の今…

パラオの別れ

南洋のパラオ共和国には、小さな島が幾つも点在している。 戦争中、これらの島々には日本軍が進駐していた。その中の一つの島に駐留していた海軍陸戦隊は、学徒出身の隊長…