カテゴリー: 悲しい話

思い切り泣きたいとき、この場所へ来てください。大切な人を失ったこと、届かなかった気持ち、間に合わなかった言葉——悲しい話には、悲しいからこそ伝わる本当のことが詰まっています。号泣できる実話風短編を集めました。

同い年の愛猫と過ごした日々

十八歳の俺と、同い年の愛猫で十八年目になるごま。老衰と診断され、日に日に軽くなっていく体を腕に抱きながら、廊下で俺を呼び続けた十八年を思い返す、ある夏の記録。猫…

サチへの手紙と小屋の体操着

実家の庭に残る犬小屋を片付ける日、俺は十五年ぶりに扉を開けた。サチへの手紙のつもりで綴る、子犬の最初の晩、柱に結んだ紐、公園のベンチ、そして小屋の奥に残った体操…

立派な将校さん

戦時中の沖縄での事です。 当時12歳だった叔父さんは、自然の洞穴を利用して作られた壕の中に居た。 他の住民や、部隊からはぐれた大怪我を負った兵隊たちも隠れていた…

戦友を弔うために

インドで傭兵としてパキスタン軍と対峙していた時、遠くから歌が聞こえてきた。 知らない言葉の歌だったが、味方のものではないことは確かなので、銃をそちらに向けた。す…

雪の夜の未送信メール

クリスマスイブの喧嘩で「ごめんなさい」が言えなかった私に、彼のお母さんが見せてくれたのは、携帯の下書きに残る一通の未送信メールだった。意地っ張りな私が十年守り続…

大好きだった彼

あれは今から1年半前。大学3年になりたての春。 大学の授業が終わり、帰り支度をしている時に携帯が鳴った。 着信画面を見ると、彼の親友でした。 珍しいなと思って電…

渡せなかった婚約指輪と真鍮の輪

甲府で指輪の石留めをしています。三年前、婚約指輪を渡す前日に彼女を亡くしました。彼女が値打ちのない真鍮の輪を一年半はめ続けた理由と、工房の受付簿に毎月残されてい…

人生

1960年に私は生まれて、今まで生きてきた。 いたずらっ子だった小学生時代。 落ちこぼれだった中学生時代。 レスリングに出会い、スポーツが何たるかを学んだ高校時…

余命半年の彼女

今日、彼女と別れた。 原因は彼女の病気、癌だった。 最初に聞いた時、冗談だと思った。 つい昨日まで普通に遊んで、喋って、ご飯を食べて、笑っていたのに。 俺は、 …

救助活動

東日本大震災。 辺りは酷い有り様だった。 鳥居の様に積み重なった車、田んぼに浮く漁船。 一階部分は瓦礫で隙間無く埋め尽くされ、道路さえまともに走れない。 明るく…

祖父の傷跡

風呂場で見た、左ふくらはぎの拳ほどの窪み。祖父の傷跡の意味を、孫は高校二年の夏の夕暮れ、動かない足首を背負われた坂道で初めて知る。戦地で隊長に背負われた重さを、…

特攻隊員の方の手紙

お母さん、とうとう悲しい便りを出さねばならない時が来ました。 晴れて特攻隊員に選ばれ出陣するのは嬉しいですが、お母さんのことを思うと泣けて来ます。 母チャン、母…

少女に伝えること

第二次大戦が終わり、私は多くの日本の兵士が帰国して来る復員の事務に就いていました。 ある暑い日の出来事でした。私は、毎日毎日訪ねて来る留守家族の人々に、貴方の息…

パラオの友情

南洋のパラオ共和国には、小さな島が幾つもある。 そんな島にも、戦争中はご多分に漏れず日本軍が進駐していた。 その島に進駐していた海軍の陸戦隊は、学徒出身の隊長の…

黒猫の赤ちゃん

小学校の時、裏門の所に小さな黒猫の赤ちゃんが捨てられていた。 両目とも膿でくっついていて、見えていない様子。 どうしても無視できなくて家へ持って帰ったら、やはり…