祖父の傷跡

公開日: 悲しい話 | 戦時中の話

従軍(フリー写真)

俺の爺さんは戦地で足を撃たれたらしい。

撤退命令が出て皆急いで撤退していたのだが、爺さんは歩けなかった。

隊長に、

「自分は歩けない。足手まといになるから置いて行って下さい」

と言うと、黙って何時間も背負って逃げてくれたらしい。

撤退場所に着いて応急手当が終わり、お礼を言おうと隊長を探すと、上官は再び出撃の準備をしていたらしい。

「ありがとうございました。このご恩は一生忘れません」

と泣きながら言うと、隊長が

「お前は怪我をしているから日本に帰れる。俺は今から祖国の為に戦って来る。多分生きて日本には帰れないだろう」

と言った。爺さんは、

「自分もここに残ります」

と言いかけたところで、

「泣く事は無い。死ねば日本に帰れる。靖国で会おう」

と上官は言っていたらしい。

爺さんの足には酷い傷跡が残っていたのだが、その傷を見る度にその隊長を思い出すらしい。

爺さんはもう亡くなってしまったのだけど、亡くなる少し前に

「死んだら隊長に会える。やっときちんとお礼を言える。随分遅くなってしまった」

と呟いていたよ。

恋人(フリー写真)

一番大切な人

当時21歳の私と倫子は、その日ちょっとしたことで喧嘩をしてしまった。 明らかに私が悪い理由で。 普段なら隣同士で寝るのに、この日は一つの部屋で少し離れて寝た。 ※ 19…

震災(フリー写真)

救助活動

東日本大震災。 辺りは酷い有り様だった。 鳥居の様に積み重なった車、田んぼに浮く漁船。 一階部分は瓦礫で隙間無く埋め尽くされ、道路さえまともに走れない。 明るく…

病室(フリー写真)

妹からの最後のメール

妹からの最後のメールを見て、命の尊さ、居なくなって残された者の悲しみがどれほど苦痛かを実感します。 白血病に冒され、親、兄弟でも骨髄移植は不適合でドナーも見つからず、12年間苦し…

青い花(フリー写真)

ママの棺

この間、1歳半の息子を連れて友人の家へ行った時に、友人の祖母から聞いた話です。 ※ 友人がちょうど1歳半の時、お母さんが癌になったそうです。 気付いた時にはもう手遅れで、一ヶ…

椅子と聖書(フリー写真)

特攻隊員の方の手紙

お母さん、とうとう悲しい便りを出さねばならない時が来ました。 晴れて特攻隊員に選ばれ出陣するのは嬉しいですが、お母さんのことを思うと泣けて来ます。 母チャン、母チャンが 私…

チワワ

脳梗塞で亡くなったチワワ

今から3年程前の事です。 飼っていたチワワ(以下、まーちゃん)が脳梗塞で亡くなりました。 14歳でした。 まーちゃんは亡くなる前日まで元気で、死因が脳梗塞と聞いた時…

夕日(フリー写真)

戦時中のパラオにて

遠い南の島に、日本の歌を歌う老人が居た。 「あそこでみんな、死んで行ったんだ…」 沖に浮かぶ島を指差しながら、老人は呟いた。 ※ 太平洋戦争の時、その島には日本軍が進駐…

桜(フリー写真)

戦友を弔うために

インドで傭兵としてパキスタン軍と対峙していた時、遠くから歌が聞こえてきた。 知らない言葉の歌だったが、味方のものではないことは確かなので、銃をそちらに向けた。すると上官に殴り飛ば…

お弁当グッズ(フリー写真)

海老の入ったお弁当

私の母は昔から体が弱かった。 それが理由かは分からないが、母の作る弁当はお世辞にも華やかとは言えない、質素で見映えの悪いものばかりだった。 友達に見られるのが恥ずかしくて、…

カップル(フリー写真)

書けなかった婚姻届

彼女とはバイト先で知り合った。 彼女の方が年上で、入った時から気にはなっていた。 「付き合ってる人は居ないの?」 「居ないよ…彼氏は欲しいんだけど」 「じゃあ俺…