タグ: 感動する話

気付かないふり

全盲の彼女に告白した夜、涙を隠せない私に、彼女はそっと気付かないふりをしてくれました。手術で光を取り戻した彼女が最後にくれた一言。潮の匂う港町の小さな電気店を舞…

綾が離さない銀色の携帯

北陸の銭湯を継いで十七年。番台の上で妻の銀色の携帯が一度だけ震えた夜から、私は落ち着かなくなりました。綾が頑なに機種変更をしない理由は、脱衣所の棚に置かれた古い…

母のガイドブック

横浜へ単身赴任した私は、人混みが苦手だという母を、いつしかお義理でしか誘わなくなっていました。母の急逝後、遺品から出てきた横浜のガイドブック。赤鉛筆の線と、行き…

俺の夢

養護施設で育った兄弟。中学を出て和菓子職人になった兄は、弟の学費のため前借りまでして仕送りを続け、自分では菓子を口にしませんでした。就職を機に誘った蔵王の温泉宿…

引き出しの奥の布張りのノート

雨の日曜、整理だんすのいちばん下から出てきた布張りのノート。そこには妻の昼ごはんが毎日、納豆ごはんかお茶づけだと書かれていました。小さくなった茶わん、棚の上の菓…