天国のおかあちゃんへ
病で母を亡くして一年。誕生日のショートケーキを前に、息子が天国の母へ綴る手紙の泣ける話。だしの匂いのする手、焦げた卵焼き、特別な親子丼、悔いの残った一言。七席の…
病で母を亡くして一年。誕生日のショートケーキを前に、息子が天国の母へ綴る手紙の泣ける話。だしの匂いのする手、焦げた卵焼き、特別な親子丼、悔いの残った一言。七席の…
二歳で母を亡くし、声も顔も知らずに育った娘。その結婚披露宴で、父が二十五年間ひそかに守り続けた一本のテープを再生します。初めて聞く母の声と子守唄に会場が涙した感…
妻を病で亡くし、四歳の息子と二人になった父。ある日、息子が急に「ひらがなを教えて」と言い出します。その理由を保育園の先生から電話で聞かされたとき、父は台所の床に…
借金とすれ違いでバラバラだった我が家に、中学生の妹が雨の夜に抱えて帰った一匹の雑種犬フク。冷えきった家族を真ん中で結び直し、皆を見送るたびに遠吠えしたフクと過ご…
父の死を境に心因性発声障害で声を失った恋人。活版印刷の職人である私は、声の代わりに鉛の活字で毎晩ひとつずつ言葉を組み、筆談と身ぶりで寄り添い続けました。一年後の…
昭和五十年代、紡績の町に来た巡業サーカス。切符売場の前で、七人の子を連れた父親が立ち尽くした夜の感動する話です。左官職人の父が見せた、たった一言の優しさ――「ポ…
静岡・浜松でピアノの響板を作る工場で出会った妻は、生まれたときから音を知らないろう者でした。西日の部屋で背後からそっと告げた、聞こえるはずのない言葉。それでも妻…
富山・高岡の銅器着色師だった父は、給料日の晩だけ湯呑みに酒を注ぎ、それを飲まずに置く人でした。結婚の報告に帰った日、ぶっきらぼうに差し出された通帳の入金欄は、十…
三重・尾鷲の港町にある椅子六脚の定食屋つばめ食堂。七十八歳のおかみさんは、だし巻きを焼くとき一巻き目だけ菜箸を右から左へ持ち替えます。半世紀のあいだ誰にも教えな…