タグ: 泣ける話

止まった柱時計は待っていた

港町の祖母の家には、三時十分を指したまま動かない止まった柱時計があった。二万八千円の修理を断った祖母が代わりに買ったのは、千円の真鍮の音叉が一本だけ。調律師にな…

俺が捨てた折り鶴

元教師のタクシー運転手が、怒鳴り続けた教え子の母親から聞かされた10年後の真実。折り紙に込められた言葉と、すれ違いを超えた祈りの感動短編。…

作業着のポケットの底

指輪の内側には、サイズの数字のほかに細かい傷が一列だけついていました。二十歳の春に不妊と告げられた私に、作業着のまま駆けつけた彼が差し出した小さな箱。一年後に本…

白い絵の具を使わない人

あなたは雪を描くとき、白い絵の具を使わない人でした。夏の病室で「ゆきがみたい」と言われ、僕は真夏の富士山へ登りました。間に合わなかったあの夏と、枕元に置いていっ…