受け継がれた情熱
感動する話をお探しの方に。山岳救助隊員だった無口な父は「情熱だけは持ち続けろ」とだけ言い遺し、雪の山で要救助者を庇って亡くなりました。押し入れに遺された私のサイ…
感動する話をお探しの方に。山岳救助隊員だった無口な父は「情熱だけは持ち続けろ」とだけ言い遺し、雪の山で要救助者を庇って亡くなりました。押し入れに遺された私のサイ…
夕方になると、坂の上のコロは古いブロック塀の角に座って私を待っていました。十八年のあいだ、雨の日も雪の日も台風の日もです。犬が自分で坂を上るのだと母は言っていま…
俺の娘は四つ。妻は娘を産んですぐ家を出て、母の話を避け続けてきた。ある夕方の電車で、片腕のない人を指さした女の子に、その母親が静かに語りかける。みんな同じじゃな…
夫は、息子の産声を聞けないまま、静かに逝きました。一歳の誕生日に郵便受けへ届いた、二通の手紙。雪深い和紙の里で紙を漉く妻のもとへ、亡き夫が遺した不器用な言葉が、…
雪の降りそうな夕暮れ、満員のバスで泣きやまない赤ちゃん。降りようとした若い母親に、運転手がマイクで語りかけた一言から生まれた、温かな拍手を描く感動の実話です。凍…
両親の離婚で一人ぼっちだった小学生の私に、絵本を抱えて話しかけてくれた、一つ年下の女の子。やがて離れてしまった私と、彼女の突然の別れを描く泣ける話です。冷たい頬…
余命三ヶ月を告げられた女性が、高校時代の恩師と過ごした夜明けの湖。手首を結わえて二人で漕いだ小舟の上で交わした静かな約束を描く泣ける話です。命があるということの…
父の借金を背負い、昼も夜も働きづめで私を育ててくれた母。古い参考書、特上寿司についた小さな嘘、そして体じゅうの傷を勲章と呼んだ最期の言葉。医師になった娘がいま、…
夏祭りの金魚すくいの屋台に、貧しい身なりの幼い兄妹がやって来ました。汗で温かい三枚の硬貨と、妹に自分の紙をそっと譲り、人混みへ駆け去っていく兄の背中。八年後の思…
中学一年の蒸し暑い教室で、僕は理由も言わずにバケツの水を床へぶちまけました。机の下をじっと見つめている転校生の彼女を、ただ庇うためでした。四十年後の食卓と、次の…
反抗期に、男手ひとつで育ててくれた父へ、ひどい言葉ばかりぶつけていました。数日遅れの誕生日ケーキと、まだ大切に使われていた手縫いの定期入れが教えてくれた、父の深…
病を抱えた妻は、娘の未来の誕生日に宛てて、一通ずつ手紙を書き残しました。雨のバス停で傘を差し出して出会い、最後まで寄り添った夫婦の歳月を、静かに綴る泣ける話です…
計算は苦手でも、木の中から鳥を彫り出す少年がいました。意地悪に見えた先生の長い沈黙の、本当の意味を知った日を綴る、静かに胸を打つ泣ける話です。才能の代わりに少な…
雪深い城下町のお直し屋で、母は朝暗いうちからミシンの前に座り続けていました。十五の誕生日にもらった紺のダッフルコートを、私は恥ずかしいと思いました。裏の裾に入っ…
閉園の決まった岸ヶ丘動物園へ、私は祖父の遺した古い象舎日誌を持って向かいました。昭和十四年に来園した三頭の象と若き象係の日々、戦争が奪っていったもの、舌を白い布…