女の子を庇うため

公開日: 心温まる話

教室(フリー写真)

中学一年の時のこと。

授業中に隣の席の女の子がおしっこを漏らしていました。

女の子の席は一番後ろの端だったので、他には誰も気が付いていない様子。

僕はおもむろに席を立ち、無言で廊下へ。

先生が後から追い掛けて来たけど、無視して手洗い場でバケツに水を汲むと教室へ戻り、その女の子にぶっかけました。

教室中が大騒ぎになり、学校に両方の親まで呼ばれました。

うちの親は相手の親に平謝り。

何故そんなことをしたのか問い詰められましたが、僕は最後まで口を割りませんでした。

家に帰る途中で女の子が親に事実を話したらしく、お礼を言いにうちまで来ていました。

時は過ぎて今、その女の子は僕の奥さんです。

関連記事

レトロなサイダー瓶(フリー写真)

子供時代の夏

大昔は、8月上旬は30℃を超えるのが夏だった。朝晩は涼しかった。 8月の下旬には、もう夕方の風が寂しくて秋の気配がした。 泥だらけになって遊びから帰って来ると、まず玄関に入…

公園のベンチ(フリー写真)

出会いの贈り物と感謝の気持ち

私の名前は佐々木真一、中学3年生です。 ある日のこと、私は学校から帰ると家の前に見知らぬ男性が立っていました。 その男性は私に向かって微笑みながら手を振り、名前を呼びまし…

ベンチに座る老夫婦(フリー写真)

最初で最後のラブレター

脳梗塞で入退院を繰り返していた祖父。 私たち家族は以前からの本人の希望通り、医師から余命があと僅かであることを知らされていたが、祖父には告知しないでいた。 「元気になって、…

手を繋ぐ友人同士(フリー写真)

メロンカップの盃

小学6年生の時の事。 親友と一緒に先生の資料整理の手伝いをしていた時、親友が 「あっ」 と小さく叫んだのでそちらを見たら、名簿の私の名前の後ろに『養女』と書いてあった…

ウェディングドレスを着た花嫁

大好きな娘へ

先日、俺の一人娘が嫁に行った。 目に入れても痛くない――。 そう自信を持って断言できるほど愛してきた、一人娘だった。 ※ 結婚式で娘は俺の前に立ち、はにかみな…

カレー

静かなテーブルの上で

ファミレスで仕事をしていたときのことです。 隣のテーブルに、三人連れの親子が座りました。 若作りした茶髪のお母さん、中学一年生くらいの男の子、そして小学校低学年と思われる…

ウエディング

隠された記憶

友人の結婚披露宴に参加した際の出来事です。式も終盤に差し掛かり、新婦の父親のスピーチの時間がやってきました。 「明子。お前が生まれたばかりの頃、お母さんは病気で亡くなってしまっ…

乾杯(フリー写真)

俺の夢

僕達兄弟には元々親が居らず、養護施設で育ちました。 3つ上の兄は、中学を出るとすぐに鳶の住み込みで見習いになり、その給料は全て貯金していました。 そのお金で僕は私立の高校を…

カーネーション(フリー写真)

本当のお母さん

俺が6歳の頃、親父が再婚して義母がやって来た。 ある日、親父が 「今日からこの人がお前のお母さんだ」 と言って連れて来たのだ。 新しい母親は、俺を本当の子供のよ…

教室の風景(フリー写真)

変わらぬ優しい笑顔

酷い虐めだった。 胃潰瘍ができるほど、毎日毎日、恐怖が続いた。 今もそのトラウマが残っている。 僕がボクシングを始めた理由。それは、中学生の時の虐めだ。 相手…