一生懸命に取り組むこと
何をしても続かなかった二十六歳の私が、下町の古い銭湯の番台でようやく見つけた居場所。釘に五十年掛かったままの四十七番の下足札、雪の晩の一杯の熱い番茶、そして混み…
何をしても続かなかった二十六歳の私が、下町の古い銭湯の番台でようやく見つけた居場所。釘に五十年掛かったままの四十七番の下足札、雪の晩の一杯の熱い番茶、そして混み…
父の暴力から母と二人で大分・臼杵へ逃れ、剣道道場を自分の足で探し当てた九歳の少年。入門から半年、彼が道場の戸にいちばん近い場所へ座り続けた本当の理由とは。十九時…
右手の指が利かない母が作った不格好な弁当を、僕は遠足の朝にいらないと言い放ちました。三ヶ月だけ味わえた母の肉じゃがと、倉敷の駅裏の喫茶店に残されていた紐の輪。母…
新潟の燕で十五の春から洋食器を磨いていた僕は、街の洋食屋の品書きが一文字も読めませんでした。恥をかいてうつむいた僕の隣で、慎一が同じ注文をしてくれた日のこと。二…
群馬の桐生でのこぎり屋根の工場を壊す解体屋になった十七歳の私に、母が誕生日に贈った一本の単焦点レンズ。写真機店の古い帳面と、玄関で毎日拭かれていたサンダルの底が…
長野の諏訪で寒天を作る家に、雪の朝、こはくという猫が生まれました。嫁いだ私を、こはくは毎日夕方になると玄関で待っていたそうです。三和土に揃えて置かれていた古いス…