カテゴリー: 心温まる話

読んでいるうちに、胸がじわりと温かくなる話を集めました。日常の中に隠れた誰かの優しさ、見えないところで続けられた愛情、言葉にならなかった想い。泣けるというより、しみじみと何かが伝わってくる——そんな感動する話をお届けします。

迷彩服のヒーロー

一昨年の夏、私は5歳の息子を連れて、家から車で1時間の所にある自然博物館の昆虫展へ向かっていました。ムシキングの影響で、息子はとても楽しみにしていました。 あと…

ロクな大人

この前の、子供の日。 夫の親、兄弟、親戚、一同が集まった席で、いつものように始まった大合唱。 「一人っ子は可哀想」 「ロクな大人にならん」 「今からでも第二子は…

娘を思う父の心

この前、娘が大学受けたんですよ、初めてね。 で、生まれて初めて娘の合格発表を迎えた訳ですわ。正直、最初は合格発表を見に行った娘の電話を待つのなんて簡単だと思って…

一人娘が嫁に行った

この前、一人娘が嫁に行った。 目に入れても痛くないと断言出来る一人娘が嫁に行った。 結婚式で、 「お父さん、今までありがとう。大好きです」 と言われた。 相手側…

駄菓子屋に集結したヒーロー

越前の谷にあった小さな駄菓子屋。お金のない子にだけ、婆ちゃんは白い紙で菓子を包んでくれました。立ち退きを迫られたあの日、三十人の大人が黙って店の前に並びます。二…

世界一の良い娘

宮城の白石で温麺を作る小さな工場の二代目です。娘のバイオリンを巡って女房と喧嘩した翌日、小学二年の娘が封入作業の求人へ自分で電話をかけていたと知りました。毎晩、…

天国へ持って行きたい記憶

タオル工場で三十年、白い生地の傷を探し続けた母。傷を見つけるたびに結んでいた赤い一本の糸には、娘が二十四年ものあいだ気づかなかった意味がありました。母がためらわ…

不器用な親父

背中を向けたまま何も言わない父でした。合格の日に病室から掛かってきた一本の電話と、物置のブルーシートの下で五年ものあいだ鳴りつづけていた小さな音の正体。浜松のピ…

親指姫

雪深い二月の花屋に、小さな女の子がたった一人で花を買いに来ました。片方だけ握られたミトンと、母のために選んだオレンジのチューリップ。花屋の主人が何年経っても忘れ…