自衛隊最大の任務

朝焼け空(フリー写真)

「若者の代表として、一つだけ言いたいことがあります…」

焼け野原に立つ避難所の一角で、その青年は拡声器を握り締め話し始めた。

真っ赤に泣き腫らした瞳から流れる涙を拭いながら、搾り出すように、しかしハッキリと話を続ける。

「これから僕らが、この神戸を立て直して行かなければなりません。

その後ろを押してくれたのが自衛隊の人達です」

周りに居た大人達も涙を流し、そして思わず、今日別れることになった陸自・災害派遣部隊の人々に駆け寄る。

「長い間、ありがとうございました!」

青年はそう叫ぶと、一人の自衛官の胸に飛び込み、そして声を出して泣き出した。

自衛官も頼もしい腕で抱き締め、共に泣いた。

『自衛隊さん、ありがとう』

そう書かれた横断幕が風で揺れる中、自衛隊最大の任務はここに幕を閉じた。

従軍(フリー写真)

祖父の傷跡

俺の爺さんは戦地で足を撃たれたらしい。 撤退命令が出て皆急いで撤退していたのだが、爺さんは歩けなかった。 隊長に、 「自分は歩けない。足手まといになるから置いて行って…

夕日(フリー写真)

戦時中のパラオにて

遠い南の島に、日本の歌を歌う老人が居た。 「あそこでみんな、死んで行ったんだ…」 沖に浮かぶ島を指差しながら、老人は呟いた。 ※ 太平洋戦争の時、その島には日本軍が進駐…

花(フリー写真)

母心

ちょっとした事で母とケンカした。 3月に高校を卒業し、4月から晴れて専門学生となる私は、一人暮らしになる不安からか、ここ最近ずっとピリピリしていた。 「そんなんで本当に一人…

太陽(フリー写真)

一身独立

私が小さな建築関係のメーカーの担当営業をしていた頃の話です。 私の担当区域には、小さな個人商店がありました。 先代の社長を亡くし、若くして社長になった社長には二人の男の子が…

スマホを持つ男性(フリー写真)

父からの保護メール

俺は現在高校3年生なんだけど、10月26日に父親が死んだ。 凄く尊敬出来る、素晴らしい父親だった。 だから死んだ時は母親も妹も泣きじゃくっていた。 ※ それから二ヶ月ほ…

白打掛(フリー写真)

両親から受けた愛情

先天性で障害のある足で生まれた私。 まだ一才を過ぎたばかりの私が、治療で下半身全部がギプスに。 その晩、痛くて外したがり、火の点いたように泣いたらしい。 泣き疲れてや…

父の手(フリー写真)

受け継がれた情熱

俺の親父は消防士だった。 いつ何があってもおかしくない仕事だから、よく母に 「俺に何かあっても、お前らが苦労しないようにはしてる」 と言っていたのを憶えている。 ※…

花束(フリー写真)

大切なあなたに花束を

私は介護施設で働いています。 時々おじいちゃんやおばあちゃん宛に、ご家族の方よりお手紙や花束が届きます。 花束を持って行くと、皆さん集まって来ます。 自分かもしれない…

桜(フリー写真)

天国のお父さんへ

幼くして父親を亡くした女の子が、小学校に入学する頃のことでした。 周りの子はみんな、親から買ってもらった赤いランドセルを背負って通学していました。 しかし、その子の家庭は幼…

工事現場(フリー写真)

父の生き様

公用でとある高校へ出掛けたある日のことだった。 私達は校長先生に呼び止められ、 「時間がありましたら、お見せしたいものがありますので、校長室までお越しください」 と言…