自衛隊最大の任務

朝焼け空(フリー写真)

「若者の代表として、一つだけ言いたいことがあります…」

焼け野原に立つ避難所の一角で、その青年は拡声器を握り締め話し始めた。

真っ赤に泣き腫らした瞳から流れる涙を拭いながら、搾り出すように、しかしハッキリと話を続ける。

「これから僕らが、この神戸を立て直して行かなければなりません。

その後ろを押してくれたのが自衛隊の人達です」

周りに居た大人達も涙を流し、そして思わず、今日別れることになった陸自・災害派遣部隊の人々に駆け寄る。

「長い間、ありがとうございました!」

青年はそう叫ぶと、一人の自衛官の胸に飛び込み、そして声を出して泣き出した。

自衛官も頼もしい腕で抱き締め、共に泣いた。

『自衛隊さん、ありがとう』

そう書かれた横断幕が風で揺れる中、自衛隊最大の任務はここに幕を閉じた。

父(フリー写真)

父と私と、ときどきおじさん

私が幼稚園、年少から年長頃の話である。 私には母と父が居り、3人暮らしであった。 今でも記憶にある、3人でのお風呂が幸せな家族の思い出であった。 父との思い出に、近…

太陽(フリー写真)

一身独立

私が小さな建築関係のメーカーの担当営業をしていた頃の話です。 私の担当区域には、小さな個人商店がありました。 先代の社長を亡くし、若くして社長になった社長には二人の男の子が…

お茶碗(フリー写真)

テーブルのお皿

私と淳子は、結婚して社宅で暮らし始めました。 台所には四人がやっと座れる小さなテーブルを置き、そこにピカピカの二枚のお皿が並びます。 新しい生活が始まることを感じました。 …

妊婦さんのお腹(フリー写真)

命懸けで教えてくれた事

13年前、俺は親元を離れて一人暮らしの大学生という名のろくでなしだった。 自己愛性人格障害の父親に反発しつつも、影響をもろに受けていた。 プライドばかり高く、傲慢さを誇りと…

野球ボール(フリー写真)

父と息子のキャッチボール

私の父は高校の時、野球部の投手として甲子園を目指したそうです。 「地区大会の決勝で9回に逆転され、あと一歩のところで甲子園に出ることができなかった」 と、小さい頃によく聞か…

サーカス(フリー写真)

ほどこしと親切

私がまだ十代の頃の話です。 サーカスの入場券を買うために、父と私は長い列に並んで順番を待っていました。 私たちの前に居るのは、ようやくあと一家族だけとなりました。 私…

親子(フリー写真)

お袋からの手紙

俺の母親は俺が12歳の時に死んだ。 ただの風邪で入院してから一週間後に、死んだ。 親父は俺の20歳の誕生日の一ヶ月後に死んだ。 俺の20歳の誕生日に、入院中の親父から…

プリン・ア・ラ・モード(フリー写真)

誕生日会と親友

僕が小学4年生の時、10歳の誕生日会を開くことになった。 土曜日に仲の良い友達みんなに声を掛けた。 「明日来てくれる?」 みんなは、 「うん!絶対行くよ!」 …

手紙(フリー写真)

連絡帳の約束

俺が小学五年生の時、寝たきりで滅多に学校に来なかった女の子と同じクラスになったんだ。 その子は偶に学校に来たと思ったらすぐに早退してしまうし、最初はあいつだけズルイなあ…なんて思…

美しい人生(フリー写真)

お帰りなさい

マニュエル・ガルシアは元気で頼もしく、近所でも働き者と評判の父親だった。 妻に、子供に、仕事に、将来、全て計画通りに運んでいた。 ある日、マニュエル・ガルシアは腹の痛みを訴…