タグ: 泣ける話

絵日記の最後のページ

妻を亡くして五年、老犬ハナと二人で暮らしてきた獣医のもとに、疎遠だった娘と孫が夏休みを過ごしに帰ってきた。ハナの最期と、孫娘の絵日記の最後のページが、沈黙の家族…

兄ちゃんの鋏の音

「兄ちゃんは手でしゃべる人」——三十年前に亡くなった弟が遺した古い動画で、ずっと謝れなかった理容師の兄が知る本当の気持ち。不器用な兄弟の沈黙の理解が、姪の結婚式…

二十四枚のカメラ

七年前に喧嘩別れした幼馴染が先月他界した。遺品として届いた二十四年前の使い切りカメラを現像すると、最後の五枚に、病床の自撮りと、冬の海と、私への謝罪のメッセージ…

十五年越しの忘れ物

十五年前、大阪の雨の夜に私のタクシーに残された、ひかりと書かれた小さな貯金箱。ずっと返せずにいた忘れ物が、思いがけない再会で持ち主の娘のもとへ帰っていく。静かに…

干し花の残った場所

陶芸家の俺は10年前の元恋人を忘れられず、もらった花束を干し花にしてずっと工房に置いていた。ある秋、その彼女が客として現れ——切なくも温かい再会の物語。…

父が磨いていたもの

二年ぶりに帰省した私は、土間で父が黙々と革靴を磨いているのを見た。それは二年前に私が置いていった靴だった。父がずっと磨き続けていたと知ったとき、胸の奥が静かに震…

母の弁当箱の蓋の言葉

東京で和菓子職人を営む誠は、母の家の整理中に古いアルミのお弁当箱を見つけた。錆びた蓋の裏には、六年分の日付と一言が並んでいた——口下手な母が語らなかった愛の形。…

城下町の番傘

十年前に告白できなかった初恋の人と、出張先の城下町で再会した。祖父のリハビリに付き添う彼女が手にしていたのは、蔵から出してきた古い番傘だった。泣ける恋愛の感動短…

娘の朝のおまじない

「なつき、宿題したか」それだけしか言えない不器用な父が、担任の言葉で初めて知った。娘は毎朝、父の安全帯にそっと息を吹きかけていた。転ばないように、と。…

三毛猫がつないでいたもの

七年ぶりに帰省した拓也を待っていたのは、老いた三毛猫と、縫い物かごの中の三十一個のお手玉だった。祖母の無言の愛情に気づいたとき、涙が止まらなかった。…

宛先のない手紙

島の郵便局に赴任した私の元へ、毎週金曜日に届かない葉書を書き続ける老人が通っていた。七年前に亡くなった妻への百四十三枚の手紙。届かないと知りながら書き続けた、静…

走れなかった日から

高校入学直後の事故で走れなくなった幼馴染。言葉をかけられないまま疎遠になった男が、二十年後に整備工場で再会する。トランクの中の二足のシューズが、長い沈黙をほどい…