タグ: 感動する話

引き出しの奥の布張りのノート

雨の日曜、整理だんすのいちばん下から出てきた布張りのノート。そこには妻の昼ごはんが毎日、納豆ごはんかお茶づけだと書かれていました。小さくなった茶わん、棚の上の菓…

みんな同じ

俺の娘は四つ。妻は娘を産んですぐ家を出て、母の話を避け続けてきた。ある夕方の電車で、片腕のない人を指さした女の子に、その母親が静かに語りかける。みんな同じじゃな…

坂の上と胸ポケットの観戦パス

坂の途中の小さな自転車店。決して人に頭を下げない店主が一度だけ私に頼んだのが、胸ポケットの観戦パスでした。雨の夜に果たされなかった約束と、三十年後の面接室でその…

夕焼けの絵葉書

押し入れの缶の底から、夕焼けの絵葉書が出てきた。中学の冬、牛乳配達の坂の上で出会った病弱な少女と、木箱の紙きれでかわした短い便り。裏の余白には、書きかけのような…

保護されたメールの一行

父の四十九日が過ぎた頃、母が簞笥の奥から古いガラケーを出してきた。受信一覧のいちばん下に、保護されたメールが一通だけ残っていた。九年前の三月十日、送信時刻は朝の…

犬からの10のお願い

雨の夜に拾った雑種の子犬ナナと過ごした十四年。会社を辞め塞ぎ込んだ私を救い、家族の一員となったナナの一生と、最後の散歩、看取った日を描く泣ける話。口がきけなかっ…