タグ: 感動する話

天国のママへ

妻を病で亡くし、四歳の息子と二人になった父。ある日、息子が急に「ひらがなを教えて」と言い出します。その理由を保育園の先生から電話で聞かされたとき、父は台所の床に…

フクが運んだ福

借金とすれ違いでバラバラだった我が家に、中学生の妹が雨の夜に抱えて帰った一匹の雑種犬フク。冷えきった家族を真ん中で結び直し、皆を見送るたびに遠吠えしたフクと過ご…

空き缶の活字は崩さないで

活版の工房で十年、私は鉛の文字ばかり拾ってきました。父親を見送った妻が声を失った一年、私が夜ごと組んだ言葉を、妻は空き缶の活字としてひとつずつ集めていました。蓋…

ほどこしと親切

昭和五十年代、紡績の町に来た巡業サーカス。切符売場の前で、七人の子を連れた父親が立ち尽くした夜の感動する話です。左官職人の父が見せた、たった一言の優しさ――「ポ…

西日の部屋で振り返った妻

静岡・浜松でピアノの響板を作る工場で出会った妻は、生まれたときから音を知らないろう者でした。西日の部屋で背後からそっと告げた、聞こえるはずのない言葉。それでも妻…

一巻き目を教えなかった人

三重・尾鷲の港町にある椅子六脚の定食屋つばめ食堂。七十八歳のおかみさんは、だし巻きを焼くとき一巻き目だけ菜箸を右から左へ持ち替えます。半世紀のあいだ誰にも教えな…