妻が拾った4380の音
新聞配達25年、誰にも見られない仕事だと思っていた。亡き妻が毎朝海岸で原付の音を聴き、一日一個の貝殻を拾い続けていたことを、漬物樽の中に残された四千の貝殻と犬へ…
新聞配達25年、誰にも見られない仕事だと思っていた。亡き妻が毎朝海岸で原付の音を聴き、一日一個の貝殻を拾い続けていたことを、漬物樽の中に残された四千の貝殻と犬へ…
群馬から東京に出た私が、若年性パーキンソン病になった兄から呼ばれて蔵を訪ねた。そこで見つけたのは、兄が何年もかけて描き続けた未完成の星座絵本『リョウカの星』だっ…
山形・庄内の訪問理容師として働く私が、九十歳の師匠の最期に頼まれた一度きりの散髪。雪の朝、震える鋏が結んだ六十年越しの師弟の絆を描く実話短編。泣ける話・感動の物…
亡き母が食堂で15年間綴り続けた『お客さんノート』には、常連客の好物や家族の話が几帳面に記されていた。最後の一冊の表紙の裏に、私の名前があった――母の静かな愛情…
父が急逝し、小豆島の小さな醤油蔵を継いだ俺の前に、四十年勤めた女性が辞表を出した。父と彼女が交わした四十年前の約束を辿った時、机の底から出てきた一冊のノートが胸…
不器用な父との別れと、年月を超えて届く一通の絵葉書を描く感動の短編。新潟の雪深い古書店『松露堂』を舞台に、店主と詩集を借りる中年男性が紡ぐ、家族の和解の物語。届…
熊本の路線バスを15年運転する父に、息子は毎朝こっそり飴玉を一粒置き続けていた。泣ける話──親子の距離と、見えないところで育まれた深い絆の感動実話。…
父の遺品から見つかった古いカメラ。未現像フィルムを現像すると、そこには俺が撮影した五島列島の同じ場所が写っていた──泣ける話・感動する実話。…
山奥のパン屋を開いた俺は、母の死後に知った。母は毎年春、俺に黙ってこの店まで来ていた。泣ける話。言葉にできなかった母の愛と、残されたボタンひとつの物語。…
雨の夜、団地の公園で傘もささず立ち尽くす少年を目撃した。一晩中動かなかった少年の正体を知り合いから聞いたとき、胸が締めつけられた。…
岐阜・郡上八幡の水路沿いにある小さな花屋を継いだ娘が、母の引き出しから見つけた四十粒のヤグルマギクの種の話です。二十年ぶんの発芽検査の記録と、九月の誕生日のたび…
耳の聞こえない僕は、物心ついたときにはもう手話が使えました。習った覚えはありません。その理由を主治医が明かしたのは、僕が父に手を上げるようになってからでした。仏…
和歌山・湯浅の醤油蔵が並ぶ細い路地で、置き忘れたスケッチブックが白い袋と一枚の板に守られていました。軒下に立てかけられた板が四十年前から誰のために置かれていたの…
福井・敦賀の坂の上の施設で育った私に、修司さんは指輪を買う約束をしてくれました。二月の交差点で失ったもの、二年後の敦賀駅で拾ってもらった小銭、そして事故の記録の…
新潟・高田の雁木の家で、母の残した黒い電話が鳴りました。「俺だけど、母さん」と名乗る若い男。詐欺だと思い声真似で応じた四日間の先に、私のかけた十時の電話がいつも…