鉄瓶のある縁側で
昭和の吉野で豆腐屋の娘・はるこへ恋心を秘め続けた源一の物語。五十年後の静かな再会が心に染みる、泣ける話。感動の短編。…
昭和の吉野で豆腐屋の娘・はるこへ恋心を秘め続けた源一の物語。五十年後の静かな再会が心に染みる、泣ける話。感動の短編。…
亡くなった兄の研究ノートが、五年経って横浜のパン屋に届いた。最後のページに書かれていたのは、妹に宛てた静かな祈りだった。猫の首輪に揺れる銀の鈴の音と共に、無口な…
図書館司書の桜は、亡くなった元彼の部屋で古いカセットテープを見つけた。「桜へ」と書かれたテープは10本。毎年誕生日の前夜に録音された、届かなかった声だった。…
海辺の幼稚園で出会った無口な園児・龍之介。急な転勤で別れも言えないまま、二月に大阪から届いた龍之介の絵日記には、どのページにも隅っこにエプロン姿の先生がいた。静…
二十年前の雨の夜、団地の公園で八時間立ち続けた少年がいました。靴の先は、ほかより一枚だけ低い敷石にきっちり収まっていたのです。二十年後に同じ場所へ行くと、その一…
別れた翌日、郵便受けに届いた返ってきたお守りと短い手紙。港町の郵便局員が、彼女が手を離した本当の理由を半年後の病室で知り、毎月の神社参りに込められた祈りへたどり…
病気を隠して「好きな人が出来た」と別れの手紙を書いた年上の彼女。十年たった今も、彼女の手紙は引き出しの奥にあります。バイト先で始まった恋と、婚姻届と一通の便箋が…
二年付き合った彼に、突然ひどい言葉で別れを告げられました。やがて届いた訃報と、病院のゴミ箱から拾われた一冊の日記。残された日記の最後のページに綴られていた、彼の…
いじめで泣いていた教室の隅で、彼女は「笑いなよ」と言ってくれた。卒業式の三日前に届いた訃報と、二年後の同窓会で知った彼女の想い。君の笑顔のために笑い続けると決め…
実家の庭に残る犬小屋を片付ける日、俺は十五年ぶりに扉を開けた。サチへの手紙のつもりで綴る、子犬の最初の晩、柱に結んだ紐、公園のベンチ、そして小屋の奥に残った体操…
北海道・増毛の造り酒屋で冬だけ働いていたあなたと別れて、七年が経ちました。坂の途中の電柱で必ず一度だけ立ち止まっていた理由と、あの別れの言葉を誰から引き取ったの…
新潟の町の裏で拾った、耳の折れた白い猫。首には大きなしこりがあり、余命は一ヶ月と告げられた。その子は毎朝きまって五時の座布団に座り、戸の外をじっと見ていた。五週…
転校先の諏訪の寒天場で、亡くなった前の住人の白い猫と暮らした少女がいました。名前を呼んでも一度も返事をしなかった理由は、四十九日のあとに隣家の奥さんの一言で分か…
海の見える坂の町の活版印刷所で、わたしと志乃と省吾は出会いました。志乃が昏睡に落ちる前の晩、一人きりで組んでいたのは、自分自身の言葉でした。彼女が遺した最後の版…
生まれる前から家にいた白猫のミーコ。嵐の夜に父が拾ったその子は、漁師の父を持つ港町の少女のそばで、つらい日もうれしい日もいつも静かに寄り添い続けてくれました。一…