泣ける話・感動する実話まとめ|ラクリマ
同じ皿が二つ並んだ洋食屋
新潟の燕で十五の春から洋食器を磨いていた僕は、街の洋食屋の品書きが一文字も読めませんでした。恥をかいてうつむいた僕の隣で、慎一が同じ注文をしてくれた日のこと。二…
続きを読む西日の部屋で振り返った妻
静岡・浜松でピアノの響板を作る工場で出会った妻は、生まれたときから音を知らないろう者でした。西日の部屋で背後からそっと告げた、聞こえるはずのない言葉。それでも妻…
続きを読むばあちゃんいつまでもげんきでね
秋田の角館で樺細工の見習いをしている俺を、認知症のばあちゃんは毎朝、郵便屋だと思って丁寧に頭を下げます。座布団の下の小さな箱と、幼い日に送った一枚の絵はがき、そ…
続きを読む父が渡した十二年分の通帳
富山・高岡の銅器着色師だった父は、給料日の晩だけ湯呑みに酒を注ぎ、それを飲まずに置く人でした。結婚の報告に帰った日、ぶっきらぼうに差し出された通帳の入金欄は、十…
続きを読む祖母が一年に一枚だけ漉く紙
福井の越前和紙を漉く家の話です。祖父が倒れた雪の夜、高校二年の僕は祖母をお手洗いへ連れて行き、礼にと三千円を差し出されて断りました。その三千円が、祖母が一年に一…
続きを読む一巻き目を教えなかった人
三重・尾鷲の港町にある椅子六脚の定食屋つばめ食堂。七十八歳のおかみさんは、だし巻きを焼くとき一巻き目だけ菜箸を右から左へ持ち替えます。半世紀のあいだ誰にも教えな…
続きを読む父の柄杓に残る十八の刻み
半年家を空ける岩手の南部杜氏の父と、そのたびに父の顔を忘れてしまう娘の泣ける話です。蔵へ持って出た柄杓の柄に刻まれた十八の刻みと、いちばん上の一本だけがなぜ深い…
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