カテゴリー: ちょっと切ない話

胸が締め付けられるような、あの感覚。泣けるほど悲しいわけではないのに、なぜか心のどこかに引っかかって残る話があります。後悔、別れ、言えなかった言葉。切なさの中にこそ、人が生きる美しさがある——そんな短編をまとめました。

親父からのタスキ

小さい頃、よく親父に連れられて街中を走ったものだった。 生まれた町は田舎だったので交通量が少なく、そして自然が多く、晴れた日にはとても気持ちの良い空気が漂ってい…

夕焼けの絵葉書

ふと思い出したのだけど、亡くなってしまった子から絵葉書をもらったことがある。 中学生の時の隣のクラスの女の子で、病気で殆ど学校に来ないまま亡くなってしまった。 …

最期の見送り

散歩をサボってばかりだった私を、十三年もそばで見守り続けた柴犬のナナ。寝たきりだったはずのその子が、私が街へ帰る朝、最後の力を振り絞って立ち上がったのです。一匹…

父への反抗期

反抗期に、男手ひとつで育ててくれた父へ、ひどい言葉ばかりぶつけていました。数日遅れの誕生日ケーキと、まだ大切に使われていた手縫いの定期入れが教えてくれた、父の深…

連絡帳の約束

泣ける話。ほとんど学校に来られない少女に毎日連絡帳を届ける係になった俺は、帳面の隅で交わした小さな文通と、指切りの約束を知ります。渡せなかった一枚の絵、果たせな…

父の名字

血のつながらない父を、私はずっと父だと思えませんでした。無口で不器用なその人が、菓子の缶にひそかに隠していたもの。遺された手帳のたった一行が、すれ違い続けた親子…