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もう一度、お母さんと

十七歳の誕生日に、育ての母だと知らされた私は、母を「おばさん」と呼び、差し出された手紙さえ、その場で丸めて捨ててしまいました。その翌日、母は突然この世を去ります…

母のエプロン

社会人になって初めての給料で母に何か贈りたかったのに、素直になれず「こんな安物かよ」と口走ってしまった三千円のエプロン。三年後に見つけた家計簿の余白が、その値札…

母の匂いと記憶

三年ぶりに帰省した俺は、家の事情で母の隣に布団を並べることになった。布団に染みた陽の匂いの奥にあった薄荷と糸の匂いが、忘れていた記憶を呼び覚ます。指のあかぎれ、…

姥捨て山

祖母の遺品の缶から、一本の木の枝が出てきました。村に伝わる背負い坂の言い伝えと、施設へ向かう車の窓から痩せた腕を伸ばし続けた祖母。親が最後まで口にしなかったこと…

忘れてはならない

手を繋ぐとき必ず手首を掴む祖母には、七十年間誰にも言えない夏の記憶がありました。停電の夜の蝋燭の下で初めて語られた、離してしまった妹の手と、届かなかった一杯の水…

白猫のミーコ

生まれる前から家にいた白猫のミーコ。嵐の夜に父が拾ったその子は、漁師の父を持つ港町の少女のそばで、つらい日もうれしい日もいつも静かに寄り添い続けてくれました。一…

母のガイドブック

単身赴任先の横浜へ何度誘っても来なかった母。四十九日の夜、簞笥の奥から見つかった母のガイドブックには、赤鉛筆の線と「息子と」の三文字が並んでいました。言えなかっ…