タグ: 家族

姉が刻んだ二本目の傷

高知・四万十の川漁師の家に生まれた私が、二十七歳ではじめて知った自分の出生の話です。窪川の祖母の家の大黒柱に二本ずつ並んでいた鉛筆の傷。その薄い三本を刻んでいた…

23年間のリセット

高校の文化祭で出会い、十九歳で夫婦になった俺と嫁。仕事に没頭して会話が消えた数年、手帳に残るハートで囲んだK、そして離婚届に震える二人の字。23年間のリセットの…

父の護衛をしていた猫

朝四時から製麺所へ向かう父の先を歩いていた茶トラ猫のみぃ。父の護衛は、棺の小窓を一晩じゅう掘り続け、骨上げの日に忽然と姿を消した。四十九日の朝、玄関で鳴いていた…

姉の思いやり

四歳の姉が祖父の削った描き炭十二本を全部折った理由は、二歳の妹と交わした半分この約束でした。能登・珠洲の揚げ浜塩田を舞台に、十二本のうち一本だけに彫られていた浅…