カテゴリー: 悲しい話

渡せなかった婚約指輪

彼女と死別した。 気付いたらもう3年も前の話だ。 彼女の誕生日の前日、プロポーズした。 「誕生日のプレゼントと婚約指輪、一緒にしちゃっていい?」 と笑って話して…

人生

1960年に私は生まれて、今まで生きてきた。 いたずらっ子だった小学生時代。 落ちこぼれだった中学生時代。 レスリングに出会い、スポーツが何たるかを学んだ高校時…

余命半年の彼女

今日、彼女と別れた。 原因は彼女の病気、癌だった。 最初に聞いた時、冗談だと思った。 つい昨日まで普通に遊んで、喋って、ご飯を食べて、笑っていたのに。 俺は、 …

救助活動

東日本大震災。 辺りは酷い有り様だった。 鳥居の様に積み重なった車、田んぼに浮く漁船。 一階部分は瓦礫で隙間無く埋め尽くされ、道路さえまともに走れない。 明るく…

祖父の傷跡

俺の爺さんは戦地で足を撃たれたらしい。 撤退命令が出て皆急いで撤退していたのだが、爺さんは歩けなかった。 隊長に、 「自分は歩けない。足手まといになるから置いて…

特攻隊員の方の手紙

お母さん、とうとう悲しい便りを出さねばならない時が来ました。 晴れて特攻隊員に選ばれ出陣するのは嬉しいですが、お母さんのことを思うと泣けて来ます。 母チャン、母…

少女に伝えること

第二次大戦が終わり、私は多くの日本の兵士が帰国して来る復員の事務に就いていました。 ある暑い日の出来事でした。私は、毎日毎日訪ねて来る留守家族の人々に、貴方の息…

パラオの友情

南洋のパラオ共和国には、小さな島が幾つもある。 そんな島にも、戦争中はご多分に漏れず日本軍が進駐していた。 その島に進駐していた海軍の陸戦隊は、学徒出身の隊長の…

黒猫の赤ちゃん

小学校の時、裏門の所に小さな黒猫の赤ちゃんが捨てられていた。 両目とも膿でくっついていて、見えていない様子。 どうしても無視できなくて家へ持って帰ったら、やはり…

ペットとの別れ

レオと出会ったのは、私が3歳の時。 山奥の綺麗な川へバーベキューしに向かっていると、運転していた父が 「あそこに犬がおる!」 と言って車を停めた。 窓を開けて見…

月に願いを

俺は今までに三度神頼みをしたことがあった。 一度目は俺が七歳で両親が離婚し、父方の祖父母に預けられていた時。 祖父母はとても厳しく、おまけに 「お前なんて生まれ…

家族の支え

中学時代、幼馴染の親友が目の前で事故死した。 あまりに急で、現実を受け容れられなかった俺は少し精神を病んでしまった。 体中を血が出ても止めずに掻きむしったり、拒…

思いやりのある若者

本当は書くべきじゃないのかも知れないが、久々に堪らない思いになった。 一応、医者の端くれとして働いている。 こういう生業だから、人の死に接する機会は少なくない。…

尊敬する先輩

俺は高校三年生で、野球部を引退したばかりです。 世界で一番尊敬する先輩が居ました。 野球は本当に下手で、一度も打席に立たせてもらった事がありませんでした。 それ…

最初で最後のキス

私が小学生の頃、初めて人を好きになりました。 上級生だったのですが、誰にでも分け隔てなく優しい人で、誰もが彼を好いていました。 そんな彼がどういう訳か、地味な私…