届かぬ想い
関係を迫ると、「あなたは紳士じゃない」と言われた。 けれど、関係を迫らなければ、「あなたは男じゃない」と責められた。 何度も君の部屋を訪ねると、「もっと一人の時…
好きだった人のこと、一緒にいられた時間、終わってしまった恋のこと。恋愛の話は、泣ける話の中でも特別な痛みと温かさを持っています。実話風の短編から長編まで、恋する気持ちと別れの切なさを丁寧に描いた作品を集めました。
関係を迫ると、「あなたは紳士じゃない」と言われた。 けれど、関係を迫らなければ、「あなたは男じゃない」と責められた。 何度も君の部屋を訪ねると、「もっと一人の時…
大学時代、私たちの仲間内に、1年生の頃から付き合っていたカップルがいました。 二人はとても仲が良く、でも決して二人だけの世界に閉じこもることなく、みんなと自然に…
彼女が認知症を患った。 以前から物忘れがひどくなっていたが、ある日の夜中、突然「昼ご飯の準備をする」と言い出し、台所に立ち始めた。 そのうえ、「私はあなたの妹な…
一年間、同棲していた彼が、突然この世を去った。 理由は交通事故だった。 それも、私たちが大喧嘩をした、その日の夜のことだった。 本当に、あまりにも突然すぎて、現…
あの日、私たちは些細なことで言い争っていた。 本当はすぐにでも仲直りできると、心のどこかでは思っていた。 でも、彼女は険しい表情のまま、何も言わずに仕事へと向か…
二年間付き合っていた彼に、突然別れを告げられました。 それは、彼の口から出たとは思えないほど酷い言葉で、心が引き裂かれるような別れでした。 どれだけ「まだ好きだ…
高校二年生の夏、僕は恋をした。 好きで、好きで、堪らなかった。 その相手を好きになったきっかけは、僕がクラスでひどいいじめに遭い、生きる意味さえ分からなくなって…
十年前、彼女が亡くなった。 当時、俺たちは高校三年生。同じ高校に通い、同じ野球部に所属していた。 俺たちは近所に住む幼馴染だった。俺は、野球好きの両親に育てられ…
一昨年の今日、僕は告白をしました。それは、生まれて初めての告白でした。 彼女は、全盲でした。 その事実を知ったのは、彼女がピアノを弾いているのを聴いて、深く感動…
岡山・児島の縫製工場で裁断をしていた二十六歳の従兄弟と、毎日六時半に病室へ通った検品係の千夏さん。手編みの藍色の帽子は、ひと月ごとに新しくなりました。十五年後、…
待ち合わせ場所で彼女を待っていると、ふと目に留まったのは、大学生くらいの若いカップルだった。 男の子が女の子の正面に立ち、何かを必死に伝えるように、両手を忙しな…
あの日、バスで初めてあなたと会った時、突然の告白に困惑しながらも、その勇気に心打たれました。 初めてのデートは、あなたが寝坊して3時間も遅れてきたことに驚いたけ…
その日、私たち家族は新築の夢を叶えるべく、住宅展示場を訪れていました。両親と妹、そして私。私だけが初めての参加で、新しい家に対する期待で胸が躍っていました。 展…
20年前、私が団地に住んでいた頃のことです。 ある晩、会社から帰宅すると、団地前の公園で一人の男の子が、雨の中傘もささず、向かいの団地をじっと見つめていました。…
私は生まれながらに足に大きな痣があり、それが自分自身でもとても嫌いでした。その上、小学生の時に不注意で熱湯をひっくり返し、両足に深刻な火傷を負いました。痕は治療…