カテゴリー: ちょっと切ない話

胸が締め付けられるような、あの感覚。泣けるほど悲しいわけではないのに、なぜか心のどこかに引っかかって残る話があります。後悔、別れ、言えなかった言葉。切なさの中にこそ、人が生きる美しさがある——そんな短編をまとめました。

母のガイドブック

東京で単身赴任をしていた時、連休になるといつも嫁が来て、家事などをしてくれていた。 母にも、偶には東京に来いよと言っていたのだけど、人混みが苦手だと言い、決して…

宝物ボックス

俺が中学2年生の時だった。 幼馴染で結構前から恋心も抱いていた、Kという女子が居た。 でもKは、俺の数倍格好良い男子と付き合っていた。俺が敵う相手ではなかった。…

父が居たら

自分は父の顔を知らない。 自分が2歳の頃、交通事故で死んだそうだ。 母に、 「お父さんの名前、なんて―の?」 「お父さんの写真、見して!」 「お父さん、メガネか…

コロの思い出

坂の上でいつも私を待っていてくれた、雑種の犬コロ。捨て犬だった子犬との出会いから、大病の看病、台風の日の待ち合わせ、そして十八歳を目前に旅立った最期まで、十八年…

親父からの感謝の言葉

親父は、競艇と酒に明け暮れる暴君だった。家を出て疎遠になった俺のもとへ届いた、入院の報せ。湖畔の宿で過ごした二日間、車の中で初めて聞いた「ありがとう」が、最後の…

幸せの在り処

街はずれの古本屋で出会った私と、閉店間際に通っていた彼女の物語です。子どもを産めないと知り、自分から別れを告げた彼女。それでも手を離さなかった私。立場が逆転した…