缶とコーヒーを分けて持つ人
秩父の国道沿いのコンビニで深夜勤をしていた頃、午前三時に必ず猫の缶とコーヒーを買っていく人がいました。缶だけは決して袋に入れさせない理由と、仕事を辞めた四年後も…
犬や猫との時間は、思った以上に深く、長く、心に刻まれます。一緒にいたあの頃のこと、別れのこと、ペットが教えてくれた何か——ペットにまつわる泣ける話は、動物好きの方の涙を確実に誘います。
秩父の国道沿いのコンビニで深夜勤をしていた頃、午前三時に必ず猫の缶とコーヒーを買っていく人がいました。缶だけは決して袋に入れさせない理由と、仕事を辞めた四年後も…
普段は俺のことをバカにしまくっているドーベルマンのロッキー。 しかし小学生の時、ロッキーは俺を助けてくれた。 ※ お袋の実家に帰省していた時、近所の大きな川にロ…
小学校の頃、クラスの友人が手から血を流していたので、ティッシュを渡してあげた。 「どうしたんだ?」 と聞いたところ、ムカつく猫が居たので捕まえて、水の入ったポリ…
奈良・吉野で八つの山を預かる山守だった父は、山を下りるたびに道の脇の石を三つ、崩してから積み直していました。毒蛇から父を庇って噛まれた愛犬フクが、なぜ三十年もの…
この冬、「うちは動物を飼わない」と言い張ってきた五十代の父の家に、六キロの茶トラが居座った。雪の夜に玄関へ泊めたのが運の尽き。ずうずうしい野良猫の診察券を財布の…
昨日、彼女の家の犬が死んだ。 彼女の家は昔、彼女の兄貴が高校生という若さで自殺してから、両親も彼女もうつ病になって酷い状態だったらしい。 そんな時に引き取って来…
11年前の2月、何も無い湖の駐車場に彼女と居ると、ガリガリの猫が寄って来た。 よろよろと俺たちの前に来ると、ペタンと地面に腹をつけて座った。 動物に無関心だった…
転校先の諏訪の寒天場で、亡くなった前の住人の白い猫と暮らした少女がいました。名前を呼んでも一度も返事をしなかった理由は、四十九日のあとに隣家の奥さんの一言で分か…
小学生の頃に飼っていた白猫は、私が家を空けた冬に用水路で亡くなりました。就職して二年目、泣きながら歩く夜道に現れた一匹の白い猫。越前の眼鏡の町を舞台に、なぜあの…
餌をやると、翌朝きまって沓脱ぎ石の右の端にどんぐりが一つ置いてある。お礼だと思っていました。けれどその置き場所には、私が越してくる三年も前から決まっていた理由が…
生まれる前から家にいた白猫のミーコ。嵐の夜に父が拾ったその子は、漁師の父を持つ港町の少女のそばで、つらい日もうれしい日もいつも静かに寄り添い続けてくれました。一…
夕方になると、坂の上のコロは古いブロック塀の角に座って私を待っていました。十八年のあいだ、雨の日も雪の日も台風の日もです。犬が自分で坂を上るのだと母は言っていま…
わずかな小遣いを握りしめ、毎日ペットショップに通うひとりの男の子が選んだのは、足の不自由な一匹の子犬でした。そっとまくり上げたズボンの下に隠されていた、彼の本当…
掃除機のスイッチを入れても、足元で吠える声がしない朝。ミルクの匂いの子犬から白い毛の老犬になるまで、柴犬のむぎと過ごした十二年と、十五歳の息子が差し出した「お掃…
散歩をサボってばかりだった私を、十三年もそばで見守り続けた柴犬のナナ。寝たきりだったはずのその子が、私が街へ帰る朝、最後の力を振り絞って立ち上がったのです。一匹…