カテゴリー: ペット

犬や猫との時間は、思った以上に深く、長く、心に刻まれます。一緒にいたあの頃のこと、別れのこと、ペットが教えてくれた何か——ペットにまつわる泣ける話は、動物好きの方の涙を確実に誘います。

妻が拾った4380の音

新聞配達25年、誰にも見られない仕事だと思っていた。亡き妻が毎朝海岸で原付の音を聴き、一日一個の貝殻を拾い続けていたことを、漬物樽の中に残された四千の貝殻と犬へ…

窯の前の命

妻の一周忌の朝、備前の老陶芸家は窯の余熱の前で、冷え切った子猫を見つけた。窯の前の命を工房へ連れ込み、亡き妻が毎朝使っていた浅鉢で水を飲ませたのが始まりだった。…

兄が遺した銀の鈴

亡くなった兄の研究ノートが、五年経って横浜のパン屋に届いた。最後のページに記されていたのは、妹への静かな祈り。猫の首輪で揺れる、兄が遺した銀の鈴の音が、無口だっ…

絵日記の最後のページ

妻を亡くして五年、老犬ハナと二人で暮らしてきた獣医のもとに、疎遠だった娘と孫が夏休みを過ごしに帰ってきた。ハナの最期と、孫娘の絵日記の最後のページが、沈黙の家族…

三毛猫と三十一個のお手玉

七年ぶりに帰省した俺を待っていたのは、何も食べなくなった老いた三毛猫と、祖母の縫い物かごに詰まった三十一個のお手玉だった。愛媛の坂の途中の洋裁店で、猫が逝った夜…

三枚目の朝

老猫のために縫い続けたソックス。嫌がって脱ぐ猫を見ながら、義肢装具士の佳奈は三枚目を縫い上げた朝、縫い物かごの中で彼女を見つけた。…

玄関で待っていた

定年になったら一緒にいてやる。そう思い続けた十五年間、猫のチビはずっと玄関で帰りを待っていた。でも、私が戻ったとき、チビはもうそこにいなかった。…

猫のゆめと過ごした日々

高校生の冬、私の電気毛布の上で産まれた猫のゆめ。出産予定日の十日前に入院したあの日、玄関で待つ猫だったゆめが最後に見せた姿を、娘が二歳になった今、ようやく書き残…