リードを噛み千切り

公開日: ペット | 心温まる話 |

ドーベルマン(フリー写真)

普段は俺のことをバカにしまくっているドーベルマンのロッキー。

しかし小学生の時、ロッキーは俺を助けてくれた。

お袋の実家に帰省していた時、近所の大きな川にロッキーと一緒に遊びに行った。

川の石を渡って真ん中まで辿り着いた時、足元のコケに滑らせて転落してしまった。

落ちた場所はギリギリ足が着く深さだったのだが、流されるうちに深い場所に行ってしまい、パニクった俺は泳ぐことも忘れ溺れて行った。

釣り人はもっと上流の方に行かなければ居ないし、道路からも遠いので、溺れながらも必死で叫んでも誰も来ない状況。

しかも川の水は冷たく、段々力が抜けて行って、死を覚悟し始めた頃…。

目の前にロッキーが居て、俺のシャツを噛み、川の岸に運んでくれた。

正直、ロッキーが来るのは有り得ないと思っていた。

だって俺はロッキーが逃げないようにリードを階段の手すりに結んでいたから。

どうやってロッキーは来られたんだろうと思い、水を吐き落ち着いてからロッキーを見ると、リードが噛み千切られていた。

余程暴れたのか、首からも血が出ていて、こんなに必死になって俺のことを助けてくれたのかと思うと、小学生ながらも感動して号泣した。

それ以来、ロッキーは俺のヒーロー。

もしロッキーに何かがあったら、次は俺が助けてやりたいと思う。

関連記事

消火活動(フリー写真)

救助から生まれた恋

5年前のある日、ある病院から火災発生の通報を受けた。 湿度が低い日だったせいか、現場に着いてみると既に燃え広がっていた。 救助のため中に入ると、一階はまだ何とか形を保ってい…

散歩する親子(フリー写真)

家族三人で過ごした思い出

私の母親は、私が12歳の時に亡くなりました。 ただの風邪だったのに、入院してから1週間後にはもういなくなってしまったのです。 そして、父親も私が20歳の誕生日の1ヶ月後に…

赤ちゃん(フリー写真)

望まれた存在

君がママのお腹にいるとわかったとき、ママの目は涙で溢れていた。 僕が妊娠の報せを聞いたとき、クールに「そうか」と言おうと思っていた。 しかし、その言葉が出る前に、僕の目か…

学校の教室(フリー写真)

初めての親友

中学3年生の夏。私に不登校でオタクな女の子の友達が出来た。 切っ掛けは些細なことだった。担任の先生が、 「運動会の練習をするから、△△ちゃんを呼びに行って!」 と、何…

椅子(フリー写真)

脳内共同ガールフレンド

大戦中にドイツ軍の捕虜収容所に居たフランス兵たちのグループが、長引く捕虜生活の苛立ちから来る仲間内の喧嘩や悲嘆を紛らわすために、皆で脳内共同ガールフレンドなるものを作った話を思い出した…

ウエディング

隠された記憶

友人の結婚披露宴に参加した際の出来事です。式も終盤に差し掛かり、新婦の父親のスピーチの時間がやってきました。 「明子。お前が生まれたばかりの頃、お母さんは病気で亡くなってしまっ…

ピンクのチューリップ(フリー写真)

親指姫

6年程前の今頃は花屋に勤めていて、毎日エプロンを着け店先に立っていた。 ある日、小学校1年生ぐらいの女の子が、一人で花を買いに来た。 淡いベージュのセーターに、ピンクのチェ…

月明かり(フリー写真)

お月さんの下で

昨日、彼女の家の犬が死んだ。 彼女の家は昔、彼女の兄貴が高校生という若さで自殺してから、両親も彼女もうつ病になって酷い状態だったらしい。 そんな時に引き取って来た犬だったそ…

タクシー(フリー写真)

母の愛

俺は母子家庭で育った。 当然物凄く貧乏で、それが嫌で嫌で仕方がなかった。 だから俺は馬鹿なりに一生懸命勉強して、隣の県の大きな町の専門学校に入ることができた。 そし…

手

母という存在

自分が多少辛くても、腰が痛くても頭が痛くても、子供が元気にしてくれていることが、私にとっては何よりの幸せです。 元気そうな子供の姿を見たり、その声を聞くだけで、心からの喜びを感…