タグ: 母の愛

峠の地蔵と金平糖

峠の茶屋をひとりで継いだ私が出会った、毎朝お地蔵さまへ通う小さなハルさん。色あせた巾着に詰めた金平糖に込められていたのは、七つで旅立った息子への、五十年分の『お…

番台の親父と椿油の少年

昭和の城下町の銭湯を舞台にした泣ける話。番台を継いだ俺が、だらしないと決めつけた路地裏の少年。先代が遺した帳面には、母を見送り独りで長湯をする子の姿が記されてい…

母の常連ノート

亡き母が食堂で15年間綴り続けた『お客さんノート』には、常連客の好物や家族の話が几帳面に記されていた。最後の一冊の表紙の裏に、私の名前があった――母の静かな愛情…

縫い針が結んだ三十四年

東京から帰郷した息子が、亡き母の足踏みミシンの抽斗で四十年分の端切れと一通の便箋を見つけた——無口だった母の手仕事が、息子の人生を見守り続けていた静かな感動の短…

母の弁当箱の蓋の言葉

東京で和菓子職人を営む誠は、母の家の整理中に古いアルミのお弁当箱を見つけた。錆びた蓋の裏には、六年分の日付と一言が並んでいた——口下手な母が語らなかった愛の形。…

母の弁当箱

毎朝四時、台所に置かれた弁当箱。団地で母とふたり暮らしの配達員が、二十四年間当たり前だと思っていたものの重さに気づいた朝の物語。…

母が隠していた地図

押し入れから出てきた古い地図には、赤ペンで七つの丸印がついていた。それはすべて、私と関係のある場所だった。母は毎年、私の誕生日に一人でその道を歩いていたという。…

割烹着に残る花の匂い

港町の惣菜屋で働く母の割烹着が恥ずかしかった。東京で花屋を開いた息子が十年ぶりに帰郷して見つけたのは、母が裏庭でひっそり育てていた息子と同じ花だった——心が震え…

母が毎朝つづけていた祈り

母が私の生まれた日から毎日一羽ずつ折り続けた折り鶴。押し入れの奥で見つけた手紙には、遠慮しながらも三十二年間祈り続けていた母の言葉が綴られていた——静かな感謝の…

母の炊き込みご飯

徳島の藍師の家に生まれた私は、母が誕生日に必ず作るかきまぜを手抜きだと思っていました。母を見送ったあと、古い飯台の底に刻まれた二百八十七本の線が、四十年の沈黙の…

ママの棺

一歳半で母を見送った友人は、母の顔も声も覚えていません。それでも、眠る子の背中を二回叩いてひとつ撫でる手つきだけが、二十一年後の今も彼女の手に残っていました。金…

もう一度、お母さんと

十七歳の誕生日に、育ての母だと知らされた私は、母を「おばさん」と呼び、差し出された手紙さえ、その場で丸めて捨ててしまいました。その翌日、母は突然この世を去ります…