災害の中での大きな力

公開日: 友情 | 心温まる話 | 震災に関する話

花

宮城県民の私は、朝からスーパーに並んでいました。

私の前にいたのは、母親と泣きべそをかいている子供。

その子供は、壊れたニンテンドーDSを大事に持っていました。画面には亀裂が入り、部品も飛び出している状態でした。

時折ボタンを押しても、DSは反応せず、子供の落胆は深まるばかり。

聞こえてきた母子の会話から、そのDSはサンタさんからのプレゼントだとわかりました。

ゲームができないことよりも、子供はサンタさんが怒っていないかと心配していました。

その様子に周囲の人々も、私も言葉を失いました。

その時、一人の中学生くらいの男の子が子供の元に近づいて行きました。

彼は自分のDSを子供に渡し、「サンタさんから頼まれた」と言って、壊れたDSと交換しました。

子供は喜びに満ち溢れ、母親は涙を流しながら感謝の気持ちを伝えていました。

電気も水もなく、寒くて食料も足りない中での出来事でしたが、心は大きく温まりました。

余談ですが、この場面を見ていた近くのおばちゃんたちが、中学生に自分たちが買った食料を分け与えていました。

私は彼から大きな力をもらいました。

この話を通して、同じように力を受け取った皆さんも、一緒に頑張りましょう。

編注: この話は、東日本大震災発生から5日後の3月16日に2ちゃんねるに投稿された実話です。

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