父の告白

ある日、僕が父に「結婚したい子ができた」と告げると、数日後、家族会議が開かれた。
その時の父は、これまでにない真剣な表情で、衝撃の事実を告げた。
「実は、俺とお前は血の繋がりがないんだ」
僕「…うん、知っ…」
父「でもな! でも! 父さんは、いつだってお前を本当の息子と思ってきた!」
僕「いや、うん。だから、知っ…」
父「お前は、俺の息子だぁぁぁぁ!」
その場は、父の涙、母の号泣、そして僕の呆然とする姿で包まれた。
父「うん、解るよ。いきなりこんな事言われたら…混乱するよな…。黙ってて悪かった。うん。父さんが悪かっ…」
僕「知ってるよ」
父「うん、そうだよな………。あ?」
僕「いや、だから僕。それ知ってるよ」
父「え?」
僕「え?」
嘘みたいなリアルな「え?」の応酬。まさかこんなことになるとは。
※
実は、父が母と結婚する前、僕たちの隣に住んでいた。
3歳の時、母に「たーちゃん(父)がパパになったら、あっくん(僕)はどう?」と聞かれたことを覚えている。
僕はその時、「すごく嬉しい」と答えたはずだ。
※
この話を母にしたところ、「だって…あっくん小さかったし。絶対覚えてないと思って…」と泣かれた。
父は、「そっか。知ってたか。知ってて一緒にいてくれたのか」と涙を流した。
その瞬間、僕も泣きそうになった。笑いながら。