カテゴリー: 友情

友達のことを、大人になってから改めて思い出すことがあります。一緒に笑ったこと、支えてもらったこと、気づかずに傷つけてしまったこと。友情にまつわる感動する話——友達のありがたさを改めて感じさせてくれる短編をまとめました。

兄が彫り続けた歩

山形の将棋駒工房で、脳に障害のある兄は三十年ただ歩だけを彫り続けました。父の帳面に残された一行の日付と、裏の字だけが深く彫られた三千枚の駒。守っているつもりで、…

あの子は僕の友達なんです

昭和三十四年、瀬戸内の小さな島でたった一人の医者だった私が立ち会った、忘れられない輸血の話です。注射の列でいつも最後尾に下がっていた少年が、その日だけは一番先に…

夕焼けの絵葉書

押し入れの缶の底から、夕焼けの絵葉書が出てきた。中学の冬、牛乳配達の坂の上で出会った病弱な少女と、木箱の紙きれでかわした短い便り。裏の余白には、書きかけのような…

連絡帳の約束

泣ける話。ほとんど学校に来られない少女に毎日連絡帳を届ける係になった俺は、帳面の隅で交わした小さな文通と、指切りの約束を知ります。渡せなかった一枚の絵、果たせな…

先輩の声

教室の隅に隠れていた人嫌いの私を、落語研究会へ強引に連れ出した、うるさくて優しい梶井さん。亡き先輩が遺した扇子を握り、追善の高座でサゲを失くした瞬間、耳もとで聞…