カテゴリー: 長編

じっくり読みたい方のために、長編の泣ける話を集めました。短編では描ききれない人物の背景、感情の重なり、時間の経過——読了後に深い余韻が残る、長編の感動する話をお届けします。

割れ寒天と四十年の嘘

寒天づくりの町に嫁いだ私は、四十年ものあいだ夫に小さな嘘をついていました。夫が毎冬とっておいた割れ寒天の行き先を、廃業を決めた最後の冬に、思いがけない訪問者から…

彼が灯さなかった分校

昭和三十四年の奥能登。電気の来ない集落の分校で、十九歳のわたしは毎晩ランプの火屋を磨いていた。ようやく電線が届いた夜、村中に灯りがともるのに、分校だけが暗いまま…