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十円玉の価値

五百円玉と百円玉と十円玉。いちばん大きいお金はどれかと問うと、その子は迷わず十円玉を指しました。養護学園の緑の公衆電話と、毎晩磨かれた一枚の硬貨。撤去の日の三十…

母の想い

雨の県道で運ばれてきた身元不明の女性。首のペンダントに入っていたのは、当直医である彼の幼い日の写真でした。三十年分の手紙と、一度も途切れなかった通帳が語る母の沈…

海老の入ったお弁当

体の弱い母が、震える手で毎朝作ってくれた見映えの悪いお弁当。恥ずかしさからそれを捨て続けた娘が、母を亡くしたあとに見つけた一冊の日記。その最後の一行に綴られてい…

母のガイドブック

横浜へ単身赴任した私は、人混みが苦手だという母を、いつしかお義理でしか誘わなくなっていました。母の急逝後、遺品から出てきた横浜のガイドブック。赤鉛筆の線と、行き…

母が遺したフィルム

母が中古のフィルムカメラで撮り続けていたのは、なんでもない私の毎日でした。つまらないと突き放した息子が、遺されたフィルムを現像して初めて知る、本当の宝物。港町で…

母が売りに行ったカメラ

群馬の桐生でのこぎり屋根の工場を壊す解体屋になった十七歳の私に、母が誕生日に贈った一本の単焦点レンズ。写真機店の古い帳面と、玄関で毎日拭かれていたサンダルの底が…