こはくちゃん

公開日: ペット | 心温まる話 |

子猫(フリー写真)

彼女を拾ったのは、雪がちらほらと舞う寒い2月の夜。

友人数人と飲みに行った居酒屋でトイレに行った帰り、厨房が騒がしかったので『何だ?』と思ったら、小さな子猫を掴んだバイトが出て来て窓から表に捨てようとし、慌てて止めてその子猫を引き取った。

友人に訳を話して家に帰ると、取り敢えずテッシュの箱にテッシュを丸めて敷き詰め、寝床を作ってあげた。

温かいミルクをあげたが飲まない。

水と猫カンをあげたら、猫カンを少し食べたので、ちょっと安心。

部屋を暖かくして眠りに就いた。

翌日、獣医さんに見せたら「よく生きてたね」と言われた。

私は生後二ヶ月になるかならないかくらいと思っていたから、そりゃそうだと思ったが、先生が言うには

「この子は、生後三ヶ月は経ってるよ。多分、親猫からはぐれてから、殆ど食べてないから育たなかったんだね。

でもね、このくらいの時期に親がいなかったら、普通は死んでしまうけど、この子は強運としか言えないよ。

寒さと飢えだけじゃなく、ネズミやカラス、雄猫に人間、子猫の敵は沢山いるから」

もう、居酒屋で出会ったのは運命だとビビッときた。

あの日、常連のお店ではなく、たまたま入った初めての居酒屋で、空腹で厨房に迷い込んだこの子猫をバイト君が捨てようとした場面に出くわしたのは、偶然じゃなく必然。

出会うべくして出会ったのだ(猫好きにはありがちな思い込みかもだけどね(笑))。

心配した排便も、飼ってから三日後にやっと出た。

先生が言うには、何も食べていなかったから、出るものもなかったらしい。

それから、アパートで猫を飼う訳にも行かず、彼女のために古いがペットOKの庭付き一戸建ての家を借りた。

そこで彼女との蜜月は十三年間、続いた。

ありがとう、こはくちゃん。

私を幸福にしてくれて。

また、私のところへ帰って来てね。

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