遠足のおやつ

公開日: ちょっと切ない話 | 家族 |

遠足用具(フリー素材)

小学生の頃、母親が入院していた時期があった。

それが俺の遠足の時期と重なってしまい、俺は一人ではおやつも買いに行けず、戸棚に閉まってあった食べかけのお茶菓子などをリュックに詰め込んだ。

そして、夜遅くオヤジが帰宅。

「あれ…明日遠足なのか」

と呟き、リュックの中を覗いて暫し無言。

もう遅かったので、俺はそのまま寝てしまった。

次日、リュックを開けて驚いた。

昨日詰めたおやつのラインナップがガラリと変わっている。

オマケのついたお菓子とか、小さなチョコレートとか…。

オヤジ、俺が寝てからコンビニ行ったんだな。

俺、食べかけの茶菓子でも全然気にしてなかったんだけどさ。

あの時、オヤジがどんな気持ちでコンビニへ行ったかと思うと、少し切なくなる。

ドーナツ(フリー写真)

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日曜にミスドへ行った時の話。 若いお父さんと、3歳くらいの目がくりくりした可愛い男の子が席に着いた。 お父さんと私は背中合わせ。以下、肩越しに聞いた会話。 子「どーな…

絵馬(フリー写真)

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教室(フリー写真)

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ブリキのおもちゃ(フリー写真)

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ろうそくの火(フリー写真)

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父と娘(フリー写真)

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桜(フリー写真)

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皺のある手(フリー写真)

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河川敷(フリー写真)

白猫のみーちゃん

私がまだ小学生の頃、可愛がっていた猫が亡くなりました。真っ白で、毛並みが綺麗な可愛い猫でした。 誰よりも私に懐いていて、何処に行くにも私の足元に絡み付きながら付いて回り、寝る時も…

手を握る(フリー写真)

ごうちゃん

母が24歳、父が26歳、自分が6歳の時に両親は離婚した。 母が若くして妊娠し、生まれた自分は望まれて生を受けた訳ではなかった。 母は別の男を作り、父は別の女を作り、両親は裁…