直立不動の敬礼

自衛隊員の方々(フリー写真)

2年前、旅行先での駐屯地祭での事。

例によって変な団体が来て、私は嫌な気分になっていた。

するとその集団に向かって、一人の女子高生とおぼしき少女が向かって行く。

少女「あんたら地元の人間か?」

団体「私達は全国から集まった市民団体で…云々」

少女「で、何しに来たんや?」

団体「憲法違反である自衛隊賛美に繋がる…云々」

少女「私は神戸の人間や。はるばる電車に乗って何しにここまで来たか解るか?」

団体「…?」

少女「地震で埋もれた家族を助けてくれたのは、ここの部隊の人や。

寒い中ご飯を作ってくれて、風呂も沸かしてくれて、夜は夜で槍を持ってパトロールしてくれたのも、ここの部隊の人や。

私は、その人達にお礼を言いに来たんや。

あんたらに解るか?

消防車が来ても通り過ぎるだけの絶望感が。

でもここの人らは歩いて来てくれはったんや…」

最初、怒鳴り散らすように話し始めた少女の声は、次第に涙声に変わって行った。

あまりにも印象的だったので、今でもはっきり憶えている。

団体は撤退。

彼女が門をくぐった時、守衛さんが彼女に社交辞令の軽い敬礼ではなく、直立不動のまま敬礼していた。

関連記事

恋人同士(フリー写真)

彼女のために出来ること

まだ一年程前の事です。 彼女がこの世を去りました。病死です。 その彼女と出会ったのは7年前でした。彼女はその頃、大学1年生でした。 彼女には持病があり、 「あと…

手を繋ぐ友人同士(フリー写真)

メロンカップの盃

小学6年生の時の事。 親友と一緒に先生の資料整理の手伝いをしていた時、親友が 「あっ」 と小さく叫んだのでそちらを見たら、名簿の私の名前の後ろに『養女』と書いてあった…

子供の手(フリー写真)

嫁の手

うちの3才の娘は難聴。殆ど聞こえない。 その事実を知らされた時は嫁と泣いた。何度も泣いた。 難聴と知らされた日から、娘が今までとは違う生き物に見えた。 嫁は自分を責め…

野良猫(フリー写真)

猫の痰助

11年前の2月、何も無い湖の駐車場に彼女と居ると、ガリガリの猫が寄って来た。 よろよろと俺たちの前に来ると、ペタンと地面に腹をつけて座った。 動物に無関心だった俺は『キタね…

海を眺める男の子(フリー写真)

ぽっけ

「このぽっけ、すごいねんで!!(`・ω・´)三3ムフー!!」 そう言って幼稚園の制服のポケットをパンパン叩いていた友達Aの息子。 ポケットにはハンカチ、ティッシュ、お菓子、…

結婚式(フリー写真)

前彼の祝福

学生時代、彼氏を事故で亡くした。 引き摺りまくって、もう新しい彼氏も結婚も要らないと荒み、誘いも蹴り告白も断った。 お一人様の老後を設計していたのだけど、ある日いきなりご縁…

青空(フリー写真)

命懸けの呼び掛け

宮城県南三陸町で、震災発生の際に住民へ避難を呼び掛け、多くの命を救った防災無線の音声が完全な形で残っていることが判りました。 亡くなられた町職員の遠藤未希さんの呼び掛けが全て収録…

献花(フリー写真)

課長の笑顔

私の前の上司(課長)は無口、無表情。雑談には加わらず、お酒も飲まず、人付き合いをしない堅物でした。 誠実公平、どんな時でも冷静なので頼もしい上司なのですが、堅過ぎて近寄り難い雰囲…

夕日(フリー写真)

戦時中のパラオにて

遠い南の島に、日本の歌を歌う老人が居た。 「あそこでみんな、死んで行ったんだ…」 沖に浮かぶ島を指差しながら、老人は呟いた。 ※ 太平洋戦争の時、その島には日本軍が進駐…

手を握る(フリー写真)

仲直り

金持ちで顔もまあまあ。 何より明るくて突っ込みが上手く、ボケた方が 「俺、笑いの才能あるんじゃね」 と勘違いするほど(笑)。 彼の周りには常に笑いが絶えなかった…