深く、不器用な愛情

公開日: ちょっと切ない話 | 家族 | 心温まる話 | |

花束

私は先天性の障害を持つ足で生まれました。

幼い私が、治療で下半身がギプスに覆われた時のことです。

痛みで泣き叫んだ夜、疲れ果てて眠った私を見て、強がりの父が涙を流していました。

「不憫だ、俺のせいだ!代わってやりたい!!」と、男泣きに泣く父の姿を、母から後に聞かされました。

いつでも私の痛みを見抜く父。隠しても、元気に歩いても、笑っていても、父には音で私の痛みが分かるのでした。

時は流れ、結婚式の白打掛を選ぶ日が来ました。

新しいものと、少し古いもの、価格に大きな違いがありました。

そのことを母に相談すると、父は言いました。

「あいつ(私)には真っ白い新しいのを着せてやれ。苦労したんだから」と。

私の足のことで、沢山の心配をかけてきた両親。

彼らこそが、本当の苦労人でした。

私は自分の障害を恨むことなく、幸せな家庭を築くことができました。

二人の子供にも恵まれ、両親への感謝の念は尽きません。

ドラマ『とんび』を見るたび、父の愛情に思いを馳せ、涙が止まらなくなります。

不器用ながらも、深い愛情を注いでくれた父と母に、感謝の気持ちでいっぱいです。

関連記事

ハンバーグ(フリー写真)

お母さんの弁当

俺の母さんは、生まれつき両腕が不自由だった。 なので料理は基本的に父が作っていた。 でも遠足などで弁当が必要な時は、母さんが頑張って作ってくれていた。 ※ 小学六年生の…

家族の手(フリー写真)

いつかの日曜日

私が4歳の時、父と母は離婚した。 当時は祖父母と同居していたため、父が私を引き取った。 母は出て行く日に私を実家へ連れて行った。 家具や荷物が沢山置いてあって、叔母の…

カップル(フリー写真)

彼女に振られた理由

付き合って3年の彼女に唐突に振られた。 「他に好きな男が出来たんだー、じゃーねー」 就職して2年、そろそろ結婚とかも真剣に考えてたっつーのに、目の前が真っ暗になった。 …

白猫(フリー写真)

白猫のミーコ

私が生まれる前から、私の家にはミーコという猫が居た。 白くて、ふわふわで、温かかった。 私はミーコが大好きだった。 ミーコもそんな私に懐いてくれた。 ※ 父が入院…

寝ている猫(フリー写真)

飼い猫の最後の別れ

10年以上前、ひょんな切っ掛けで、捨てられたらしいスコティッシュの白猫を飼う事になった。 でもその猫の首には大きな癌があり、猫エイズも発症していて、 「もうあと一ヶ月ぐらい…

お花畑(フリー写真)

本当のやさしさ

遡ること、今から15年以上前。 当時、小学6年生だった僕のクラスに、A君というクラスメイトがいました。 父親のいないA君の家は暮らしぶりが悪いようで、いつも兄弟のお下がりと…

田舎の風景(フリー写真)

せめて届かないだろうか

葬式、行けなくてゴメン。 マジでゴメン。 行かなかったことに言い訳できないけどさ、せめてものお詫びに、お前んちの裏の山に登って来たんだ。 工事用の岩の間に作った基地さ…

彼女(フリー写真)

忘れられない暗証番号

元号が昭和から平成に変わろうとしていた頃の話です。 当時、私は二十代半ば。彼女も同じ年でした。 いよいよ付き合おうかという時期に、彼女から私に泣きながらの電話…。 「…

高校野球のボール(フリー写真)

本当の優しさ

大阪の藤井寺に住んで居られる原田さんというお母さんの話です。 息子さんは高校三年生。阪南大高校の野球部に入り、レギュラーを目指して頑張って来ました。 ※ 大阪府予選…

街の夕日(フリー写真)

人とのご縁

自分は三人兄弟の真ん中として、どこにでもある中流家庭で育ちました。 父はかなり堅い会社のサラリーマンで、性格も真面目一筋。それは厳格で厳しい父親でした。 母は元々小学校の教…