娘として育てた妹
先日、友人の娘の結婚式に出席した。
友人とは高校からの友達で、娘の事も知っている。
しかし、その子は実は友人が20歳の時に生まれた妹で、親の居ない家族として育てるよりも、
父親の居る家族として育てた方が妹のためにもなると考えたためだった。
友人は当時、両親が事故で他界し、親戚に預けるのも嫌だったため、妹を娘として育てることにした。
私は友人に反対したが、友人は自分が幸せではなく妹が無事に育ってくれることが最優先だと考えていた。
友人は家事と仕事、妹の育児とで一生懸命だった。
私も時折聞いてみたものの、何も手伝えなかった。
その子の結婚式は順調に進み、新婦が手紙を読み始めた。
娘さんは父親への手紙で泣きじゃくっていた。
しかし、彼女が一向に続きを読まないため周りがざわつき始め、
次の瞬間、彼女の口から「お兄ちゃん」という言葉が出てきた。
彼女は友人の日記を偶然見つけたとき、自分が娘ではなく妹であることを知っていたようだ。
友人はそれでも、彼女がこんなに大きく育ってくれたことに感謝していた。
私も友人の言葉に感動し、涙が流れた。
友人と居酒屋で話をしながら、友人は妹のことを思い出し、涙を流していた。
私は友人に「お疲れ様」と言ってやった。
友人は笑いながら「いえいえ」と言って泣いていた。
友人が今一番楽しみにしているのは、孫が生まれることだそうだ。