幼馴染に彫った最後の舟
昭和の造船の町で、船大工見習いの俺は幼馴染の千代に想いを伝えたばかりだった。突然倒れた彼女の枕元で、俺は「いつか乗せて」と約束した小さな木の舟を彫り続けた。最後…
昭和の造船の町で、船大工見習いの俺は幼馴染の千代に想いを伝えたばかりだった。突然倒れた彼女の枕元で、俺は「いつか乗せて」と約束した小さな木の舟を彫り続けた。最後…
三十年、引き出しの奥にしまい続けた黄楊の王将。親友との別れを恐れ、約束を捨てて故郷を離れた男が、危篤の報せに、幼馴染の彫った駒を手に三十年ぶりに帰郷する。盤の上…
三重県四日市市の駄菓子屋『八重屋』を四十年営んできた私が、店を畳む夕方に出会ったのは、四十年前に消えた幼馴染の拓ちゃんだった。ラムネ瓶のビー玉に込めた五歳の約束…
七年前に喧嘩別れした幼馴染が先月他界した。遺品として届いた二十四年前の使い切りカメラを現像すると、最後の五枚に、病床の自撮りと、冬の海と、私への謝罪のメッセージ…
高校入学直後の事故で走れなくなった幼馴染。言葉をかけられないまま疎遠になった男が、二十年後に整備工場で再会する。トランクの中の二足のシューズが、長い沈黙をほどい…
十三年ぶりに東京へ届いた小包には、手紙が一行も入っていなかった。薄い木の額と、白い星形の野原の干し花が一枚きり。送り主は筑豊の炭鉱町で一緒に育った幼馴染だった。…
温泉街の駅員として働く俺のもとに届いた忘れ物。中には折り鶴と、十五年間音信不通だった幼馴染からのメモが入っていた。不器用な二人が最後に交わした言葉とは。…
小学生のころ、二人でよく折り紙の鶴を折った。大人になって離れ離れになった幼馴染の母が、ある日花屋を訪ねてきた。娘が折り続けていた鶴のことを話してくれた。…
写真家として旅を続ける俺のもとに、幼馴染・亜季の母から荷物が届いた。中には一冊の日記と、俺が湖畔に落としたあの眼鏡が——。涙が止まらない感動の短編。…
幼馴染が夜逃げで消えた日から十五年。タクシー運転手の俺の車に乗り続けた男が握りしめたのは、あの日机に残されたハーモニカだった——不器用な友情が胸を打つ感動の物語…
中学二年の夏、目の前で幼馴染を失った俺は眠れず、食べられず、夜ごと玄関に立った。そんな俺と兄を結んでいたのは、体育館シューズの白い手首の紐だった。二十年近く経っ…
高校一年の秋から、私の上履きの向きはいつも揃っていました。踵を外に向けて、左右が同じ角度で並んでいる。自分で揃えた覚えはありません。同じ高校に通う幼馴染が階段か…
沼津の幼稚園のバスで隣に座っていた美咲と、私は二十歳から一緒に暮らした。プロポーズのために、眠る美咲の薬指に白い糸を回して指輪のサイズを測った九月の夜。前々日に…
無愛想で友だちの少なかった私を、電車で四十分かかる高校にまで、中学の頃の噂といじめが追いかけてきた。なぜか半年でそれが消えていった頃、心臓の弱い隣の家のジュンが…
隣の家の章にいと二人で作った川の生きもの図鑑は、九十三番で止まったままでした。塀一枚向こうの窓を見ないようにして過ごした二年のあと、私の手に残されたのは絵のない…