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幼馴染に彫った最後の舟

昭和の造船の町で、船大工見習いの俺は幼馴染の千代に想いを伝えたばかりだった。突然倒れた彼女の枕元で、俺は「いつか乗せて」と約束した小さな木の舟を彫り続けた。最後…

黄楊の王将

三十年、引き出しの奥にしまい続けた黄楊の王将。親友との別れを恐れ、約束を捨てて故郷を離れた男が、危篤の報せに、幼馴染の彫った駒を手に三十年ぶりに帰郷する。盤の上…

二十四枚のカメラ

七年前に喧嘩別れした幼馴染が先月他界した。遺品として届いた二十四年前の使い切りカメラを現像すると、最後の五枚に、病床の自撮りと、冬の海と、私への謝罪のメッセージ…

走れなかった日から

高校入学直後の事故で走れなくなった幼馴染。言葉をかけられないまま疎遠になった男が、二十年後に整備工場で再会する。トランクの中の二足のシューズが、長い沈黙をほどい…

炭鉱跡の野原の干し花

十三年ぶりに東京へ届いた小包には、手紙が一行も入っていなかった。薄い木の額と、白い星形の野原の干し花が一枚きり。送り主は筑豊の炭鉱町で一緒に育った幼馴染だった。…

千の祈りの数え方

小学生のころ、二人でよく折り紙の鶴を折った。大人になって離れ離れになった幼馴染の母が、ある日花屋を訪ねてきた。娘が折り続けていた鶴のことを話してくれた。…

手首の紐でつながれた夜

中学二年の夏、目の前で幼馴染を失った俺は眠れず、食べられず、夜ごと玄関に立った。そんな俺と兄を結んでいたのは、体育館シューズの白い手首の紐だった。二十年近く経っ…

隣の家のジュンの口ぐせ

無愛想で友だちの少なかった私を、電車で四十分かかる高校にまで、中学の頃の噂といじめが追いかけてきた。なぜか半年でそれが消えていった頃、心臓の弱い隣の家のジュンが…