猫エサ缶とコーヒー
俺はコンビニで一人夜勤をしている。
いつも夜中の3時くらいに、猫エサ缶とコーヒーを買って行くおっちゃんがいる。
おっちゃんが、
「うちの猫はこれしか食べないんだよ」
なんて話してくれたりして、猫好きな俺はいつも癒されていた。
※
初めて会話してから半年ほど経ったある日、レジに来たおっちゃんの買い物カゴの中に猫エサ缶が無かった。
俺はどうしたのかと思ったが何も言えず、コーヒーをスキャンした。
すると、おっちゃんが笑顔でポケットから写真を取り出して言った。
「いつもありがと。これうちの」
年老いた感じの痩せた猫だった。
死んでしまったらしい。
「もうエサは買わなくて済むわな」
なんて笑いながら話していた。
俺は泣いたよ。