ずっと並んで歩こうよ

公開日: 心温まる話 | 恋愛

手を繋いで夕日を眺めるカップル(フリー写真)

交通事故に遭ってから左半身に少し麻痺が残り、日常生活に困るほどではないけれど、歩くとおかしいのがばれる。

付き合い始めの頃、それを気にして一歩下がるように歩いていた私に気付き、手を繋いで一緒に並んで歩いてくれた。

家に帰ってから訳を聞かれたので、

「○○君に恥ずかしい思いをさせたくなかったから」

と言った。そしたら、

「どうしてそんな考え方をするんだ」

と怒られたので、

「大好きだった○○君と付き合えてるだけで幸せだから。私と付き合うことで、○○君に少しでも嫌な思いをさせたくないから」

と言った。

すると泣きながら私の両手を持って、目の中を覗き込むようにして諭してくれた。

「俺はお前と付き合ってあげてる訳じゃない。俺がお前を好きで一緒に居たい、付き合いたいと思ったから付き合ってるんだ。

お前の体のことなんか、ずっと前から知ってたけど、一緒に歩いて恥ずかしいなんて一回だって思ったことはないよ。お前がそんな風に考えてるのが俺は悲しい。

俺に気を遣わないで。自分のことを恥じないで。もっと自信を持って胸を張って欲しい。

ずっと並んで歩こうよ。お前は俺の自慢の彼女なんだから」

私のことをここまで思ってくれる人には、絶対会えないと思う。

凄く嬉しくて、涙が止まらなかった。

今はどこに行く時も、並んで歩いています。


note 開設のお知らせ

いつも当ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。
今後もこちらでの更新は続けてまいりますが、note では、より頻度高く記事を投稿しております。

同じテーマの別エピソードも掲載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

泣ける話・感動の実話まとめ - ラクリマ | note

最新情報は ラクリマ公式 X アカウント にて随時発信しております。ぜひフォローいただけますと幸いです。

関連記事

スーパー

小さな勇気、大きな友情

私はセイコーマートで働いて三年目になります。 店にはよく来る小さな常連客がいます。その子は生まれつき目が見えず、白い杖をついて母親と共に週に二、三度店を訪れます。 ある日…

手紙(フリー写真)

亡くなった旦那からの手紙

妊娠と同時に旦那の癌が発覚。 子供の顔を見るまでは…と頑張ってくれたのだけど、ちょっと間に合わなかった。 旦那が居なくなってしまってから、一人必死で息子を育てている。 …

オフィスの机(フリー写真)

膝枕

昔、飲み会があるといつも膝枕をしてくれる子が居たんだ。 こちらから頼む訳でもなく、何となくしてもらう感じだった。 向こうも嫌がるでもなく、俺を膝枕しながら他の奴らと飲んでい…

空港(フリー写真)

空港の約束

俺が25歳くらいの時の話。 当時働いていた職場に二つ年下の女の子が居て、めっちゃいい子だった。 当時はお互い恋人が居たから付き合えなかったけど、お互いかなり意識はしていたと…

受験(フリー写真)

おばあちゃんの愛情

俺の家庭は自分と母親、それとおばあちゃんの三人で暮らしている。 親父は離婚していない。パチンコなどのギャンブルで借金を作る駄目な親父だった。 母子家庭はやはり経済的に苦し…

カップル

届かなかった「ごめんね」

あの日、私たちは些細なことで言い争っていた。 本当はすぐにでも仲直りできると、心のどこかでは思っていた。 でも、彼女は険しい表情のまま、何も言わずに仕事へと向かっていった…

犬(フリー写真)

大切な家族

家で可愛がっていた犬が亡くなって、もう何年経っただろう…。 まだ私も子育て中で、小さい子供を2人育てていたので毎日がバタバタだった時のことだ。 旦那が、番犬になるし子供たち…

ローカル電車(フリー写真)

特別な千円札

学生時代、貧乏旅行をした。 帰途、寝台列車の切符を買ったら残金が80円! もう丸一日、何も食べていない。 家に着くのは約36時間後…。 空腹をどうやり過ごすか考…

桜(フリー写真)

進学を願ってくれた母

僕の家は兄弟三人の母子家庭です。 母子家庭という事もあり、母は何も言わなかったけど家庭は火の車でした。 電気が止まった時も。 ガスが止まった時も。 中学の校納金…

電話機

電話越しの陽だまり

結構前、家の固定電話が鳴った。 『固定電話にかけてくるなんて、誰だろう?』と思いつつ、電話に出ると、若い男の声がした。 「もしもし? 俺だけど、母さん?」 すぐにオ…