夢への橋渡し
私はかつて、家の貧しい状況から夜の仕事をしながら大学に通うキャバクラ嬢でした。
私の初めてのお客様は、Yさんという70歳のお爺ちゃん。彼は口下手で、私の話に対して「うん。そうだね」としか返さない人でした。
それでも彼は毎週来店し、私がピンチの時はいつも助けてくれました。深夜0時には静かに店を後にする彼は、他の客のように私に個人的な誘いをかけることは一度もありませんでした。
大学卒業と同時に私は夜の仕事を辞めました。最後の日、Yさんは「お疲れ様」と言ってくれました。
翌日、彼から珍しくメールが来ました。「これからは昼の人間。夜の仕事で出会った人とは関わらないで」という内容でした。彼は私のこれからを思ってくれていたのです。
それ以降、私は彼に年に一度だけ誕生日のメールを送り続けましたが、返信はありませんでした。
そして3年目、Yさんの娘さんからメールが届きました。「父はガンで他界しました」とのこと。彼女は私に父の日記を送ってくれました。
日記には私のことを温かく見守ってくれたYさんの言葉が綴られていました。「彼女は夢に向かって頑張っている。応援していますよ」と。
今、社会人6年目となった私は仕事が楽しく、毎日を一生懸命に生きています。Yさんの応援のおかげで今の私があることを感じています。
天国のYさん、あなたの優しさと応援、心から感謝しています。あなたの期待に応えるよう、これからも頑張ります。