店長さんの嘘

公開日: 心温まる話

コーヒーのドリップ(フリー写真)

俺がまだ受験生だった頃の話。

当時、塾の自習室にはどうにも居辛くて、自習室代わりによく利用している喫茶店があった。

普段は20時前には自習室に戻っていたんだけど、そこの店長さんとふとした切っ掛けから仲良くなって、閉店ぎりぎりの21時まで居るようになった。

ある時、店長さんが

「あたしん家は近くだから、閉店後も居ていいよ」

と言ってくれた。

そこの居心地も良かったし、お言葉に甘えて22時、酷い時には23時くらいまでそこで勉強させてもらった。

遅くなった時は、夜食を作ってくれたりもしたな。

受験が終わって報告に行くと、その店長さんは自分のことのように喜んでくれた。

これは受験が終わった後、そこのバイトの子から聞いた話なんだけど、店長さんの家は凄く遠くにあるらしい。

電車四つとバス二つを乗り継いで、2時間以上掛かるらしい。

ということは店長さん、毎日帰りは午前1時過ぎだったことになる。

おまけにそんな生活を、赤の他人の俺のために3ヶ月以上も続けてくれたことになる。

その事実を知った時、俺は不覚にも泣きそうになった。

大変なはずなのに店長さん、いつも笑いながら俺のことを見守ってくれてたっけ。

受験というのは意外なところで意外な人達に支えられているものだなと、つくづく思った。

店長さん、本当にありがとう。

あなたがあの店に居なかったら、今の自分は居ません。

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