お盆のある日

公開日: 子供 | 家族 | 心温まる話

空(フリー写真)

私には4年前、赤ちゃんの時に亡くなった子どもがいました。

昨年の8月のお盆のある時、上の娘が空を見上げて

「お母さん、空見てみて。ほら、空の雲の間に光っているところあるでしょ。

そこから○○ちゃんが見えるんだけど、歩けるようになってるよ。

笑ってるし。

あと、一人じゃないよ。

ほらお母さんのお友達かな? 一緒にいてくれているよ。

だから寂しくないから、大丈夫だよ」

と私に言うのです。

それを聞いて私は涙が止まらなくなりました。

何故なら、まだ上の子が生まれる前に仲良しだった友人が若くして亡くなったのですが、娘には詳しく話したこともなかったのに、その友人のことまで私に教えてきたのです。

私は思いました。

友人が泣いてばかりいる私に、

「私が一緒にいるから大丈夫だよ」

と娘を通して励ましてくれたのではないかと。

亡くなった子も天国では成長し、歩いて、笑っていることも判り、少しですが心がすっとしたことを思い出します。

今でも悲しくてふさぎ込むこともありますが、お盆の時の出来事を思いだし、少しずつ前を向いて行けるように頑張りたいと思っています。

関連記事

サイコロ(フリー写真)

あがり

俺は小さい頃、家の事情でばあちゃんに預けられていた。 当初は見知らぬ土地に来てまだ間も無いため、当然友達も居ない。 いつしか俺はノートに、自分が考えたすごろくを書くのに夢中…

手紙を書く手(フリー写真)

寂しい音

ある書道の時間のことです。 教壇から見ていると、筆の持ち方がおかしい女子生徒が居ました。 傍に寄って「その持ち方は違うよ」と言おうとした私は、咄嗟にその言葉を呑み込みまし…

父(フリー写真)

父と私と、ときどきおじさん

私が幼稚園、年少から年長頃の話である。 私には母と父が居り、3人暮らしであった。 今でも記憶にある、3人でのお風呂が幸せな家族の思い出であった。 父との思い出に、近…

シロツメグサ

手話で結ぶ絆

私たちの娘は3歳で、ほとんど聞こえません。 その現実を知った日、私と妻はただただ涙に暮れました。繰り返し泣きました。 難聴という言葉が娘を別の世界の生き物に見せてしまうほ…

女の子

天に向かっての約束

7ヶ月前に妻を亡くし、初めて迎えた娘の4歳の誕生日。 今日は休みを取って朝から娘と二人で妻の墓参りに出かけた。妻の死後、娘は毎日「ままにあいたい」「ままかえってこないの」と泣い…

スマートフォン

父の遺した言葉

私は今、高等学校3年生です。父がこの世を去ったのは10月26日のことでした。 父は、私が心から尊敬し、誇りに思える素晴らしい人でした。彼の死に際して、母と妹は慟哭しました。 …

病院(フリー素材)

みほちゃんという子

看護学生の頃、友達と遊びに行った先で交通事故を目撃しました。 勉強中の身ではあったのですが、救急隊員が駆け付けるまでの間、友人の手も借りながら車に撥ねられた女の子の応急処置をしま…

電車の車内(フリー写真)

みんな同じ

俺の娘は今年、4歳になる。 嫁は娘を生んですぐに家を飛び出したので、子供には母親の記憶は無い。 今まで母親のことはあまり話題にせず避けて来たのだが、この間ちょっと考えさせら…

病院のベッド(フリー写真)

貴重な家族写真

俺が小さい頃に撮った家族写真が一枚ある。 見た目は普通の写真なのだけど、実はその時父が難病を宣告され、それほど持たないだろうと言われ、入院前に今生最後の写真はせめて家族と…と撮っ…

野球ボール(フリー写真)

父と息子のキャッチボール

私の父は高校の時、野球部の投手として甲子園を目指したそうです。 「地区大会の決勝で9回に逆転され、あと一歩のところで甲子園に出ることができなかった」 と、小さい頃によく聞か…